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  • Shino Nishikawa

すべらない話『謎の女性』

すべらない話『謎の女性』

「はい、僕が、学生時代に、福井でアルバイトしていた時の事を話そうと思います。

デパートの土産品コーナーでバイトしていたんですけど、そこに、カナさんという25才の女性がいたんですね。それで、カナさんは、とても可愛いので、たくさんの男性が、カナさん目当てに、お土産を買いにきていました。

でも、カナさんは謎の女性で、人によって言う経歴がコロコロ変わるという、ちょっと変わった人だったんですよ。ANAでCAをしていましたとか、慶応大学でミスコンに出ていましたとか、地下アイドルとして、活動していましたとか。カナさんが本当は何をしてきたのか、全然分からなかったんです。

それで、ある日、カナさんが、私は浜崎あゆみをやってました。と僕に言ってきたので、僕が証拠見せてと言うと、次の日、カナさんが雑誌持ってきたんですよ。その表紙のあゆが自分だと。確かに、似てはいるんですけど、やっぱりちょっと、別人なんですよ。

嘘つくなと、僕が怒ると、カナさんが泣いちゃって。

『でも、私には、あゆとか、女優よりも、もっと大変な事がある。』と言ってきたんですね。

なんなんだろうと思って、僕が、『仕事中じゃあれだから、今度お茶しない?』誘ったんですけど、口をきいてもらえなくなっちゃったんですよ。

そういう状態が数日続いた時に、僕は、このデパートが他とちがうという、ある異変に気づいたんです。それは、婦人ブランドの店長を、みんな男性がやっている、お惣菜の製造係に、ベテランコックみたいな男がいる。やっぱり、デパートの従業員も、男性の方が多いし、ベテランコックみたいな男が、オバちゃん達とお惣菜を作っているのは、ちょっと普通じゃないなと思って。その事を、カナさんに言ってみたんです。

すると、「○○君、バイトの後、ちょっと話そうか。」とカナさんの方から、誘ってくれて。バイトの後、カフェで、カナさんが、「私は本当は、東京の料理の学校に行っていたんだけど、ちょっと自分がモテすぎて、やめてしまった。福井に帰ってきても、学校の先生やバイト先の店長だった人がついてきちゃって、今、このデパートで働いている。」と。

だから、デパートのベテランコックや、婦人服店の男性店長は全員、カナさんのストーカーだったんですね。

カナさんは、素性をなんとかして隠すために、嘘をついていたんですよ。

まぁ、今では、カナさんも30代半ばですから、だいぶ落ち着いて、幸せになっていると思いますけど‥、あの時は本当にびっくりしました。」

#すべらない話

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