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  • Shino Nishikawa

落語【大変な事】

落語【大変な事】

僕はよくヒステリーを起こすんですよね。その原因というのも、重度の障害者の伯母と暮らしているせいなんですけど。僕の母も祖母も若い頃はヒステリーを起こしていたなと最近は思い出しています。伯母はトイレや着替えの世話も必要ですから、それを祖母がこなしていまして、よく24年間もやっているなと尊敬しています。年をとってくると、将来のためではなく来世のために頑張るようになるようで、お年寄りが来世でなりたい職業№1は、オリンピック選手だそうです。

今日は柔道のオリンピック選手の悲しい物語をお話しようと思います。

その女子柔道選手Aは、オリンピックに3回出場しておりまして、大変な人気を誇っていたものですから、ついにはAの偽物まで現れました。

しかし、普段のAは普通の人です。Aは偽物を容認する事にしました。

Aは試合の前は勝つ事しか考えられないほどで、癇癪を起す事もしばしばありました。

それでも大会で出した結果はいつでも最高です。

Aは歴代の女子スポーツ選手の中で1番人気でしたが、引退する日がきます。

Aは、「私が引退しても、私の柔道は終わらない」と言いました。

Aは若い選手に指導をするようになりましたが、嫉妬した高校生から命を狙われるようになってしまいました。Aは毒をもられ、ついに柔道着のまま亡くなったのです。

誰もAが殺されたと疑わなかったため、犯人は捕まりません。Aは最後に言いました。

「もしも私が死んでも、日本の柔道は終わらない。」と。

Aは両親に先立たれ、身内がいなかったので、観世音菩薩様がAのアパートの片付けに向かいました。

すると、Aの部屋のちゃぶ台には、朝食の時のまま、お茶椀とお皿とコップが遺されていたのでした。Aは死ぬ準備など、少しもしていなかったのです。

僕がヒステリーを起こした時に、神様の声が聞こえました。

「お前が障害者の伯母に耐える事ができたのなら、伝説の柔道選手Aを娘にあげる。」と。

そして、僕のヒステリーが静まり、立ちあがった時、また声が聞こえたのでございます。

「やっぱり、Aはみんなの神様だから、お前には別の子をあげる。」と。

すごい人は死んだ後に、神様になったり、神社に祀られるのでございます。


#落語

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