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  • Shino Nishikawa

kojiki 途中

Kojiki

1別天す神

ムズ

天と地は突然の始まりを迎えた。

天の上に神様が立っている。今までの争いをそこまでは覚えていないので、今はお見せ出来ない。

穏やかな表情で、神様は地上を見つめていた。

「はああ。」

神様はくらくらとした。

「まただ。」

そう言って、神様は頭を抱えた。

「ここはどこで、自分の名前はなんだったか。」


すると、目の前に2人の神様が現れた。

「天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、もう高天原(たかのあまはら)にいたとは。やはりあなたは世界の中心に立つお方だ。」

高御産巣日神(たかみむすひのかみ)が、天御中主神のまわりを歩きながら言った。

「わらわがあなたの下につく日がくるとは。」

神産巣日神(かむむすひのかみ)が、髪の毛を耳にかけながら言った。


「あなたが私の‥?」

「妻になるわけではない。高御産巣日神も、地上に良いおなごがいれば選ぶと申しておった。」

「オホン、そんな事はもうよい。我々はもう行かなければ。」

「行くというのはどこに?」

「シー。」

天御中主神が聞くと、神産巣日神が口に人差し指をおいた。

その会話を、雲の影に潜んだ蟲たちが聞いていた。


3人の神様は雲に乗って、移動を始めた。

「海しかないのぉ。」

神産巣日神が言った。

「少しは島もある。ほら、見てごらん。」

高御産巣日神が島をさした。

「だけど、あんなに小さければ、高御産巣日神のおなごは見つからないだろう‥。」

「だから、我々で島を生んでくれる神を見つけるのじゃ。」


「あっ‥。」

「どうした?」

「海の中に大きな生き物がいる。」

天御中主神が言い、神産巣日神と高御産巣日神は目をこらして見た。

「本当だ。」「あれは、くじらじゃ。」


「宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)。」

別の雲に乗ってきた男が言い、3人は驚いて神を見た。

「あのくじらの名前さ。」

「あなたは?」

「私の名前は、天之常立神(あめのとこたちのかみ)」


この5柱(柱は神様の単位)を天の神様の中でも特別な存在として、『別天つ神』といいます。



2神世七代

海は体の中にたくさんの魂を宿していた。海はこの時はじめて救い主の存在を知ることになる。

『再び現れん時、我あなたを助けよう。』

黒い雲から大雨が降ってきた。

5柱は並んで宙に浮かび、海はその姿を確認した。そして、5柱は消えていく。

海はチャプンと波を揺らした。


晴れの日が過ぎ、また大雨が来た時、海は抱えている魂の多さに窮屈を感じていた。気づくと、神様が一人、宙を歩いている。

「これはこれは。」

海は辺りを見回した。黒雲から光がもれている。海は手を伸ばし、神様が降りるための階段を整えた。空から女神様が降りてくる。


海は2人の神様を地上が作られる所まで運んでいった。

男の神様が足を踏み入れた時、大地が芽生えはじめた。神様はほほえんだ。

男の神様の名を国之常立神(くにのとこたちのかみ)、女神様の名を豊雲野神(とよくものかみ)という。


大地が芽生え、その泥がザブンと動き、2人の神様が現れた。

男の神様の名前を宇比地邇神(うひぢにのかみ)、女神様の名前を須比地邇神(すひぢにのかみ)という。


高天原に戻った別天つ神は、雲の机と椅子でこれからの事について話し合いをしていた。天之常立神が立ち上がり、雲の影で隠れて聞いていた蟲たちを引っ張り出した。

蟲といっても、動物に近い姿である。

ヒヨコのような姿の蟲たちが言った。

「あの争いから時間がそれほど流れていないのに、5柱はもう国を作るつもりか?」

「こんなに早く。昔はみんなで団結していたのに、お前たちばかり、そんな姿になりおって。」


高御産巣日神が言った。

「この姿になったのは、今まで消えていた海に眠っている魂たちを救うためだ。そして海の上に国を作り、魂たちをのぼらせる。」

神産巣日神が言った。

「そう。いつまでもたくさんの魂を海は宿しはしない。早く助けなければ、海は溢れかえって怒り狂い、この世界は消えるだろう。」


蟲たちは悔しそうにしていたが、ヒヨコに似た生き物が口を開いた。

「じゃあ、僕たちにも何かさせてくれよ!いつまでもこんな姿で天の上をさまようなんて、無様じゃないか!」

「左様。ワシもそなた達の気持ちはよく分かる。昔は同じ姿だったからのぉ。」

天御中主神が言った。

「ふざけるな!」

一匹の蟲が天御中主神を攻撃し、天御中主神は手で顔を覆った。

「神に手をあげるとはどういう事だ!すぐに高天原から追い出してやる!」

宇摩志阿斯訶備比古遅神が矛を構えた。

「気にせんでいい。ワシの事なら大丈夫じゃ。」

天御中主神が言った。

「しかし。」

「もしも神になったら、何をやりたい?」

天御中主神が聞いた。

「神にするつもりか?」

天之常立神が言った。

「左様。どうじゃ?そなたら、何をする?」

「もしも神様になれるのなら、なんだってしますよ。魂から人間を作って、僕たちが助けて、大きな国をつくる。」

蟲が言い、5柱は蟲たちを見た。

高御産巣日神が言った。

「ならば、すぐに地上に降ろすか?」

「それがよい。」

天御中主神が言った。

「小鳥よ、こちらに来なさい。」

「はい。」

カラフルな2羽が前に来た。

天御中主神が手をかざすと、神の姿になった。


海は見た。

雲の切れ間から、小鳥が舞い降りたと思うと、神様の姿になり、手をつないで宙を舞った。

男の神様の名をツノグヒノ神、女神様の名をイクグヒノ神という。

成長力が神格化された神様といわれている。


しばらくすると、黒い悪魔のような姿の蟲が天から降りて来て、黒い悪魔は宙で抱き合い、接吻をかわしたが、神様の姿に変わると2人は凛として輝き、離れて大きく輪を描き、対立した。

男の神様の名を意富斗能地神(おほとのぢのかみ)、女神様の名を大斗之弁神(おほとのべのかみ)という。

名前にあるトは性器を表すため、それぞれ性器を神格化した神といわれている。


その後、美しい女神が2人降りてきたかと思うと、美しい男2人に変身した。2人の神様はあらゆる姿に形を変えたが、どの姿も美しかった。元の姿が、あの濃い桃色の蟲だということは誰にも分からない。

最後に男女の双び神となった。

男の神様の名を於母陀流神(おもだるのかみ)、女神様の名を阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)という。

オモダルは容貌を称える言葉で、愛の誘いを神格化した存在である。


4組の双び神が降りた後、神産巣日神は少し手持ち無沙汰になって、高天原を歩いていた。すると、2匹の蛇が絡まり合って死んでいる。

神産巣日神は呪術をつかい、解いた後、雲の中に捨てた。


雲の机に戻り、しばらくの間、5柱で談笑していると、突然目の前の雲が揺れ始めた。

「何事じゃ!」

雲は神様の姿になり、双び神が登場した。

神産巣日神が言った。

「彼らはきっと、最後の双び神では?」

「きっとそうだ。彼らに最後の仕事をまかせよう。」


神産巣日神が女神の腕についている蛇の皮の残りを見た。

神産巣日神が近寄り、何か話しかけて、腕にふれると蛇の皮の残りは消えた。

神産巣日神の手はひんやりとして、とても気持ちがよかった。


最後の双び神の名を、伊邪那岐神(いざなきのかみ)伊邪那美神(いざなみのかみ)という。



3イザナキとイザナミ

「漂っている国を固めよ。」

高天原の神々はイザナキとイザナミに命じた。

二神は、天空に浮かぶ天の浮橋に立つと、授かった天の沼矛を海水に降ろし、コオロコオロとかきまぜた。矛を引き上げた時、矛の先からぽたぽたと滴り落ちた塩が、積もり固まって島となる。これが初めての国土、オノゴロ島である。

二神はオノゴロ島に降り立つと、天の御柱と神殿八尋殿を建て、夫婦となり国を生む事にした。

契りの儀式として、イザナキは左から、イザナミは右から天の御柱を回ることにした。巡り合った所で、まずイザナミが「なんて素敵な男性なんでしょう」、次にイザナキが「なんて素敵な女性なんでしょう」と言って、お互いの体をすりぬけ、子供を産んだ。しかし、最初に生まれたのは形をなさないヒルコで、葦の船に入れて流した。

次に生まれたのも、島とは言えないような淡島だった。

二神は高天原の神に相談にいくと、天御中主神が言った。

「男神から声をかけるのじゃ。」

二神が儀式をやり直すと、立派な島が次々と生まれていった。

大八島と6つの島々である。イザナキとイザナミは無事に国生みを終えたのである。


絵島‥瀬戸内海の淡路島沖に浮かぶ周囲400メートルほどの小さな島。オノゴロ島の候補地の一つである。


大八島‥佐渡島、淡路之穂之狭別島、隠岐之三子島(天之忍許呂別)、津島(天之狭手依比売)、伊伎島、筑紫島、伊予之二名島、大倭豊秋津島


飯依比古(讃岐国)、愛比売(伊予国)、豊日別(豊国)、大宜都比売(粟国)、建依別(土左国)、建日別(熊曾国)、建日向日豊久士比泥別(肥国)、白日別(筑紫国)



国生みを終えたイザナキとイザナミは、今度は神々を生んでいく。古事記には三十五柱と記されているが、実際には十七柱である。

まず、七柱が生まれた。住居に関わる神々である。

次に水に関わる三柱が生まれ、続いて、風木山野の四柱が生まれた。

最後に船、食べ物、火の神が生まれた。


七柱‥大事忍男神、石土毘古神、石巣比売神、大戸日別神、天之吹男神、大屋毘古神、風木津別之忍男神


三柱‥大綿津見神、速秋津日子神、速秋津比売神


四柱‥志那津比古神、久久能智神、大山津見神、鹿屋野比売神


速秋津日子神、速秋津比売神の子供

沫那芸神、沫那美神、頬那芸神、頬那美神、天之水分神、国之水分神、天之久比奢母智神、国之久比奢母智神‥泡、凪、波、水面など水に関わる神々


大山津見神と鹿屋野比売神の子供

天之狭土神、国之狭土神、天之狭霧神、国之狭霧神、天之闇戸神、国之闇戸神、大戸或子神、大戸或女神‥山頂、霧、峡谷、迷い路の神々


イザナミの嘔吐

金山毘古神、金山毘売神


イザナミの糞

波邇夜須毘古神、波邇夜須毘売神


イザナミの尿

弥都波能売神、和久産巣日神-豊宇気毘売神

イザナキの涙

泣沢女神



イザナミは、火の神カグツチを生んだ。イザナミは神だからといって、出産に気をゆるませていた。カグツチの火はイザナミの白い衣に引火し、イザナミは陰部に大火傷を負ってしまった。

イザナミは病床で苦しみながらも、嘔吐物や糞尿から、鉱山や土・水などにまつわる六神を生んだ。

やがて、イザナミは死んでしまう。

イザナミの隣で、イザナキは泣き崩れた。イザナキは目を見開いて、亡くなったイザナミを見た。イザナキの目から涙は溢れ出した。普通の涙ではない。涙の精霊が共に出て来て、零れ落ちると消えていく。

そして、たまった涙から、泉の女神ナキサハメが誕生した。


イザナミの亡骸を背負い、比婆山を登る。イザナキは岩の周りを花いっぱいにうめつくし、そこにイザナミを横たわらせた。

イザナキは比婆山をあとにする。暗い夜道をイザナキが振り返ると、比婆山は大きな炎に包まれていた。再びイザナキが歩きだすと、辺りは薄明るくなっていて、比婆山は元通りの姿に戻っていた。

しかし、イザナキは十挙剣を引き抜くと、カグツチの首をはねてしまった。


殺害されたカグツチの血潮は、周りの岩に飛び散り、柄を握った指の間からも滴り落ちた。

その血や亡骸からは神々が誕生した。


左足-原山津見神

腹部-奥山津見神

左腕-志芸山津見神

頭部-正鹿山津見神

胸部-オド山津見神

右腕-羽山津見神

十挙剣―天之尾羽張

陰部―闇山津見神

右足-戸山津見神


血液-石折神、根折神、石筒之男神、みかはや日神、樋速日神、建御雷之男神、闇淤加美神、闇御津羽神


4黄泉の国

イザナキが子供の神々と遊んでいる時、子供の女神が指さした。

「母ちゃん。」

イザナキが見ると、ピンク色の美しい蝶が舞っている。イザナキはうっとりと見とれ、イザナミを思い出した。

イザナキは月に何度も祈り、別天つ神との交渉を試みたが叶わない。ある嵐の晩、黒雲の向こうに不思議な黄色い光がさしているようで、あたりは異様な空気に包まれていた。

ザッザッザッ

イザナキは海に行き、イザナミともう一度会う事を祈った。海に大きな渦が巻き、黄泉の国の入口が現れた。天高くから煌めく縄のハシゴが下されている。イザナキはハシゴに飛び移った。ハシゴはゆらゆらと揺れている。イザナキは愛するイザナミに会いたい一心で下に降りることにした。

ベチャ。下につくと、汚い黄土色の泥が足についた。

イザナキは置いてあったろうそくを持ち、先に進んだ。泥の中から、醜いイモムシが現れたり、子豚に似た動物が泥の中を走ってきた。

大きな石の扉があり、ようやく泥の道が終わった。

石の扉の門番は小さくてとても可愛い。虫のような姿だが、顔だけがピンク色である。

「どうした?お前、なぜ来た?」

可愛い門番に聞かれ、イザナキは言葉をなくした。

「イザナミに会いたい?だから来た?」

イザナキはうなずいた。

「いいよ。」

門番は扉を開けた。辺りは真っ暗でよくわからない。後ろにいた門番が何者かに、「イザナキ、イザナミに会いたい。」と告げた。

しばらくすると明るくなり、役人のような神がイザナキの前に来て、書物を読み上げた。

書物の内容は、イザナキとイザナミの人生がどのようなもので、別れた事がお互いにどれほど辛いのかというものだ。しかし、イザナミはすでに黄泉の国の物を食べたあとで、もとの国には戻れない身であることを告げた。


「ワシはもう一度だけイザナミに会いたい。一生のお願いだ、イザナミに会わせてくれ。この通りだ。」

イザナミがひれ伏したため、役人はまゆを上げ、しばらく待つように言い、黄泉の神に相談に行った。すると、役人たちが何人か出て来て、ツボを置き、薬草をいれ、お香をたく準備を始めた。

「何をしている?」

「ふふ、そなたがイザナミに会えるように準備をしているのじゃ。」

役人は笑った。

しばらくすると、ツボから煙がもくもくと出て来て、イザナミの影が現れたので、イザナキは仰天してしりもちをついた。

「イザナミ!!」

イザナミは、自分がイザナキに会えない事をどれほど辛く思ったか、どれほどあなたを愛していたかを語ったが、もう二度と自分の姿を見ないように言い残して消えた。

「ああ!イザナミ!」

イザナキは消えかけの煙の中を追いかけ、役人たちは、首をふった。

イザナキは懸命に追いかけ、美しい花畑にたどり着いた。イザナキがあたりを見回しながら歩くと、穴の中に死体を発見して、ハッとした。死体は変わり果てたイザナミだったのだ。腐敗してウジ虫が湧き、八柱の小さな雷神がイザナミの体の上を歩きまわって、調べていた。これを見たイザナキは、血相を変えて逃げ出すと、死体のイザナミは体を起こして、イザナキを見た。そして、怒ったイザナミは、ヨモツシコメたちにあとを負わせた。

背後から迫る追手に気づいたイザナキは、髪飾りや櫛の歯を投げつけて撃退した。

次に、雷神が大軍を率いて迫ると、黄泉津比良坂の麓に生えていた桃の実を投げつけて、退散させた。

そしてついに、変わり果てたイザナミが追ってきたが、イザナキは大岩で道を塞いだ。

イザナミは、「地上の人間を一日に千人殺します。」と恨みを込めて言い、イザナキは、「それなら一日に千五百人子を産ませよう。」と応答した。こうして、二柱は決別してしまった。


5三貴士の誕生

黄泉の国から地上に戻ったイザナキは、日向の阿波岐原に向かうと、黄泉の国の汚れにまみれた体を清めるための禊を行い、神々を誕生させた。


杖―衝立船戸神

首飾り―御倉板挙之神

冠-アキグヒ之宇斯能神

衣―和豆比能宇斯能神

帯―道之長乳歯神

左手の腕輪―奥疎神、奥津那芸佐毘古神、奥津甲斐弁羅神

褌―道俣神

右手の指輪―辺疎神、辺津那芸佐毘古神、辺津甲斐弁羅神

嚢-時量師神


垢―八十マガツ日神、大マガツ日神

穢れを流す―神直毘神、大直毘神、伊豆能売


身を水に沈める-底津綿津見神、中津綿津見神、上津綿津見神(綿津見三神)

底筒之男神、中筒之男神、上筒之男神(住吉三神)


そして、禊の最後にイザナキが顔を洗うと、特に素晴らしい三柱の神が現れた。

右目から月読命、左目から天照大御神、鼻から建速須佐之男命である。

イザナキは喜び、天照大御神に高天原を、月読命に夜を、須佐之男命に海を治めるように命じた。



6天照大御神と須佐之男命

イザナキに海の統治を命じられたスサノヲは乱暴者で、命令に従わず泣きわめいてばかりいた。スサノヲが神の力で森にいたずらをして、強風でウサギが死んだだけでも泣いてさわぐのだ。

泣き声で山は枯れ、海は干上がり、地上に禍が満ちてしまった。

イザナキが訳を尋ねると、スサノヲは、「母の国、根の堅州国へ行きたい。」と言い、怒ったイザナキは、葦原中国からの追放を言い渡した。


スサノヲは、天照大御神に別れを告げようと高天原に昇った。

雲でこちらに昇ってくるスサノヲを、家来が天照大御神の城の窓から発見した。

「須佐之男命がこちらに向かってきますぞ!!」

「なんだと。」

天照大御神は家来を集め、武装してスサノヲを待った。

スサノヲが意気揚々と城に上がろうとすると、「なぜ来た?」家来の槍がスサノヲを止めた。

スサノヲは最後に天照大御神にお別れが言いたかっただけだと告げ、身の潔白を証明するために、『誓約』をして、子を生むことを提案した。

まず天照大御神が、スサノヲの剣から三柱の女神を生むと、次にスサノヲが、天照大御神の勾玉から、五柱の男神を生んだ。

子供を生んだ物の持ち主を親として、男神はアマテラスの子、女神はスサノヲの子とした。

スサノヲは、「私の心が清いから女神を生むことができたのだ。」と勝ち誇り、天照大御神の田の畦や溝を怖し、神殿に糞を撒き散らすなどの乱暴をはたらいた。

しかし、天照大御神はスサノヲをかばい、とがめようとはしなかった。


7天岩屋戸と神々

誓約で潔白を宣言したスサノヲの乱暴は酷くなる一方だった。ある時、スサノヲは馬の皮を剥ぐと、機織小屋の屋根に穴を開けて投げ込んだ。これに驚いて転がり落ちた織り女が、尖った機具に刺さって死んでしまった。

すると、弟をかばい続けてきた天照大御神も、さすがに恐れて天岩屋に身を隠してしまった。

天照大御神が隠れると、高天原も葦原中国も、闇に包まれて禍が広まってしまい、困った神々は、思慮の神オモヒカネに相談する事にした。

オモヒカネは、神々に命じて八咫鏡と八尺瓊勾玉をつけた御幣を作らせ、神々を天岩屋の前に集めた。そこでアメノウズメが胸も露わに踊り出すと、神々はこれをはやし立てて、大騒ぎを始めた。

不思議に思った天照大御神は、岩屋の戸を細く開けて声をかけた。

神々は「あなた様よりも尊い神がおいでになったのです。」と答え、天照大御神は外を覗き込んだ。そこへ御幣についた鏡をフトダマが差し出したため、鏡は天照大御神の顔を映し出した。天照大御神が身を乗り出した隙を見て、岩戸の陰にいたタヂカラヲが引き出し、フトダマが戻れないようにしめ縄を張った。こうして策は見事成功し、世界に光が戻ったのだ。


~天岩屋と神々~

アマツカラとイシコリドメ(鏡作氏の祖)が鏡を作る。

タマノオヤ(玉祖氏の祖)がミスマルの珠を作る。

フトダマ(忌部氏の祖)が神具を取り付けたマサカキを太御幣として持つ。

アメノコヤネ(中臣氏の祖)が祝詞を唱える。



8スサノヲのヤマトノヲロチ退治

「ああー!!」

髪の毛を逆立てたスサノヲは痛みにこらえきれず、叫び声を出した。高天原を混乱に陥れたスサノヲは、髭と手足の爪を切られ、追放されることになった。

出雲国の肥河の畔にやってきたスサノヲは、老夫婦が娘のクシナダヒメをはさんで泣いているのを見つけた。

老夫婦は、恐ろしい8つの頭と尾を持つ大蛇ヤマトノヲロチが娘を食べに来る時間が近づいたと話した。

スサノヲは可愛いクシナダヒメを見て、ツバを飲んだ。スサノヲはヲロチを倒す代わりに娘を貰う約束をし、8つの門を持つ生垣を作り、門ごとに強い酒を満たした桶を置くように老夫婦に指示をした。

現れたヲロチは、スサノヲの企み通り、強い酒を飲んで寝込んだ。すかさず、スサノヲはヲロチを切り刻み、尾を切った時に、太刀が現れた。

スサノヲは高天原に昇り、天照大御神にその太刀を献上した。この剣が、三種の神器のひとつ、草薙の剣である。

ヲロチ退治後、約束通りクシナダヒメを手に入れたスサノヲは、出雲国の須賀に宮を建てて住み、子供を設けた。

スサノヲはすがすがしい気分になった地に須賀と名付けたのだ。


「八重立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」


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