濃姫ファンタジーⅡ
もともと信長は織田の庶家の生まれであったが、器量、立ち居振る舞いが庶民のものではなかった。
「この国手にするには、清州城ほしいなぁ。なあ、あんた?」「せやなぁ。でも織田信友君、譲ってくれるやろか。」「こんな時はメンタリズムや。城主やっとると、村娘の別品ちゃんとまぐわりなんて無理やろぅ…。ふふ…。」「信友君はお前とは違うんやで!そこまでまぐわり好きかのう…。」
しかし、お濃の思惑どおりに信友は逃げた。
「よしっ!うちの旦那が清州城主や。」1554年のことであった。
「きゃー!!」信長の叫び声である。「な、なんでトイレが水洗トイレやねん。」
「うちな、夢で未来行ってきたんよ。そこで出会った山田さんという人がやってくれたんや。」「やっ山田さん、この時代に今いるんか?!」「いや違う、起きたらぷわぁ~とこんなんなってたんよ。」
「ほら、これ見てみ。」「なんなんや、これ!!」「うちのパンティーや。あんた
のもあるで。」
「なぁお濃。未来でもまだ朝廷の奴らいたで。なんでやめんかのぅ…。」「そりゃあんた。うちの娘の名前使って威張ってたらみんな信用するやろ。」「アマテラス…。出てきぃひんかな?」「未来もぱーと見たけど、いなかったなぁ‥。」
「あっ、昔ひとりだけおったぞ。巫女様や。弥生の卑弥呼様や。」
「ああ、それはうちやで。」お濃が言った。信長は切れ目でちらりとお濃を見た。「それ、ほんまか?」「ほんまや。うち、夢で見たこと言ったら、すぐに暗い家に連れていかれて、閉じ込められてしまったんや。ほんまにいつレイプされるかと思って、毎日おびえとった。でも、なーんもなくてつまわんかったわ。つまわんから、うちの右腕と決められたらしき男になんかやることないかって聞いて、毎日土偶作ってたんよ。」
「実はわしな、その時、村人いちの役でいたんよ。巫女様の部屋に出入りできるのは決められた男ひとり。その男とどうゆう関係だったんや!!!」信長はお濃の首をしめた。
「なっ何するんや。」お濃はケホケホしながら言った。「いやうちなんにもしてへんよ。うちはまぐわりが占いに役立つと言ったんやけど、その男に断られてしまったんや。いや、あの人、うちによくしてくれたで。」
ふん、信長は切れ目でお濃をにらんだ。
清州城主となった信長のもとには、他の親戚たちから狙われてしまう。林通具、柴田勝家は、信長の弟、信勝を擁立しようとしていた。信長の方には、森可成、佐久間一族が味方することになる。
「森さん、どこかで見た顔やけど…。」「なみさん、俺は2010年、慶応義塾大学ラグビー部の主将でした。」「なん、なんやって?うちは夢の中でしか未来行ってないんよ、どうやってここまできたんですか?」「俺、死んだんです。」お濃は絶句した。
「親戚と戦うなんて嫌や。わし、重臣の林秀貞さんと話してきますわ。」「ほな、うちもついてゆきますわな。」清丸もついて行きたいと言ったが、お濃は清丸が怒って林の家から出ていく一寸先の未来が見えたため、とめた。
その日、別に何事もなく終わったが、信勝派は攻めてきた。
「うわ、今、夜やん。うち寝たいわぁ。」「なみはここで寝とり。」信長、清丸、森、佐久間の若手たちが闘い、勝った。稲生の戦いである。森可成は長い棒剣のようなものをアクロバティックに振り回すという戦い方であった。
「信長殿。信勝殿がまたよからんことを考えていて困りますわ。」柴田勝家である。
「信勝さんには城主はむいておらんよ…。天候読みでも習わせますか?なあ、あんた?」「せやなあ…。天候読みはどこで習えるんや。」「越後におるやしいんや。きっとおなごにもモテるようになるで。」
信長は、自分が不死の病と言って信勝を家に誘った。
「来たら、奥の間に通しとくれ。」しかし信勝はなかなか来ない。
「とっ殿様!!」清丸である。「信勝様が…。」なにっ。信長とお濃が見に行くと玄関先で信勝は死んでいた。やったのは河尻秀隆である。
「河尻さん、なんてことしよるん。」お濃は言った。お濃はだんだん、蟲けらに見えていた人間たちを大事に思うようになっていたのだ。
「まぁ、過ぎたことは戻せません。自分たちが片づけますんで。」森と佐久間の若手が信勝の亡骸を片付けた…。