多久さんの事件簿【霧ヶ峰に温泉旅行編④】6

February 18, 2018

多久さんの事件簿【霧ヶ峰に温泉旅行編④】

日葵は、馴染みの食堂でカツ丼を食べながら、ニュースを見ていて、部長夫妻の名前が出たので、少し吹いてしまった。

「え‥。」

温かいカツ丼は、口の中で冷えた。

 

 

「おい、どうしたんや。突然。」

ダミエルの元気がないので、岸道さんが聞くと、ダミエルは、自分のメガネを正しい位置に戻した。

 

「犯人は君達の中にはいない。」

「そんなこと、最初から言っとるやろう。」

 

「山賊の仕業だよ。」

リンチルが言うと、マイクルは悲しそうだった。

ダミエルは人の死体を見て、頭がおかしくなっていたが、本当はみんな、山賊達に気づいていたのだ。

ダミエルは、自分の国でも、山賊の噂を聞いていたが、まさか本当にいるとは思っていなかった。

 

ヤマはスマホを見て、言った。

「ミンクやハクと連絡がつかない。俺達も行こう。」

みんなヤマを見た。

 

「でも‥もう夜ですよ。」

ナツが言った。

「じゃ、お前は来るな。」

 

ヤマは立ち上がり、仕度を始めた。

「兄さんが行くなら、俺も行くっス。」

マロが言った。

 

ちなみに、警察はもう引き上げていた。

宮高組を疑っていたが、むやみに動くと、また死者を出すと思った。

 

「はぁ~。」

マージンはため息をついた。

「とりあえず、僕はもう一度、県警に連絡します。」

トーロは言った。

 

「残りたい者は残れよ。」

ヤマが言ったが、外国人撮影スタッフ、トーロ達従業員、岸道さん、マージン以外、みんなで行くことになった。

 

「今回は、俺達だけ別ルートはナシな。」

「ええ~、でもみんなと同じじゃ、意味なくないですか。」

高選手と日比野は、回り道で、本拠地を目指すことになった。

 

「オカミさん、山賊の‥本拠地を教えてください。」

全てを見抜いたヤマが、オカミさんの手を握って言うと、オカミさんは泣き崩れた。

 

高選手と日比野は、右回りルート。ダミエル、ロニー、マイクルは直線ルート、ヤマ、ユーリ、トーマ、多久、リンチル、マロは、左回りルートだ。

 

 

 

この日の午前4時、アラツメンバーの、カグヤちゃん♂、オーヤン君、ニーヤを乗せた、偽のロケバスが東京駅を出発した。

カグヤちゃんは酔ってしまった。

「どうしよう、すごい酔った。」

「俺も。」

オーヤン君は答えた。

 

一度、道の駅に降りた。

「イエーイ!着きましたぁ!!」

偽スタッフは、ニーヤをちらりと見た。

『なんだコイツ。』

ハゲの偽スタッフはつぶやいたが、ニーヤは偽ニヤニヤ笑いで車から降りた。

 

「あっ、ここ、撮らなくていい?」

偽スタッフは顔を見合わせ、仕方なくうなずいた。

 

「ねえ、それ、撮れてるー?」

「は、はい。大丈夫です。」

ファン達が寄ってきて、道の駅の役員までも出てきた。

 

「はーい、スマホで撮ってもOKです。」

カグヤちゃんは言った。

「きゃ~!」

女の子達は大喜びで、一緒に写真を撮ったりした。

 

「ほぅ~。」

車の中でカグヤちゃんは言った。

「ね、疲れとれるでしょ?」

オーヤン君が言うと、

「そんなこと、言ってなかったじゃん。」

カグヤちゃんは笑った。

 

 

3人は、睡眠薬で、寝てしまった。

 

気づくと、車は、山の目の前に止まっていた。

「はい、降りて。」

「ん‥。」

「ちょ、ごめん、俺、トイレ。」

 

オーヤン君は、仮設トイレに行った。

 

ニーヤの頭は真っ白で、カグヤちゃんの頭は真っ黒になった。

騙されたと気づいたのだ。

 

「どする~?」

「でもさ、マジで俺達が殺されたら、みんな騒いでくれるよ。きっと。」

オーヤン君は黙っていた。

 

3人は、銃を向けられながら、頂上を目指した。

 

「痛くない、こいつら。」

カグヤちゃんは言った。

ニーヤは顔をしかめた。

「致命傷が残ることだけは避けたいんですよ、僕。」

 

「話してないで、歩きなさいよっ!!」

女は言った。

 

男達はクスクス笑った。

「あとで、お前と、ってわけだ。」

「違うわよ。あんた達も、さっさと歩きなさい。」

 

「あぁ~。」

オーヤン君はやっと声を出して、ため息をついた。

「あの、お姉さんさ。トイレとか大丈夫?」

ニーヤが聞いた。

「大丈夫。気にしなくていいの。」

女は、銃でニーヤの頭をコツンとやった。

 

カグヤちゃんはニーヤを小突いた。

 

「あぁ~。」

オーヤン君はあくびをした。

「眠くなってきた。遭難って、こんな感じかな。」

「‥てゆーか、俺、トイレ行きたくなってきた。」

カグヤちゃんが言った。

 

女は泣きだした。

「え、どうしたの?」

カグヤちゃんは聞いた。

 

「おい、大丈夫か。」

「トイレなら行っていいぞ。」

仲間の男が心配し、女は行ってしまった。

 

「カグちゃんは。どうするの。」

「いい、今は。」

 

「漏らす時は漏らしますから。」

カグちゃんは、作り笑いで言った。

 

「あれ、待たないの?」

カグちゃんが聞くと、男2人が立ち止まった。

 

「すぐ、追いつきますから。」

 

 

女はトイレをすました。

ガルルルル

「あぁ。」

女は、悪女から、カワイイ女の子に戻った。

「熊さんか。」

 

女は走って山を降りた。

「大丈夫、かな。」

でも、すぐ後ろに熊が来ていた。

 

アラツのファンの呪いなので、仕方ない。

女は殺され、目を喰われた。

 

「さっきの子、来なかったね。」

広場につき、カグちゃんが言うと、

「帰ったんじゃない?」

ニーヤが答えた。

 

「ちょっと待って、縛るから。」

3人は後ろ手に縛られた。

「あー、無理。」

「これ変だよね。」

カグちゃんとニーヤが話した。

 

オーヤン君は叫ぼうとしたが、声が出なかった。

 

 

夕方4時。

「あれ、連絡つかない。集合3時でしょ?」

マーキンと松さんは話していた。

 

5時からの生放送に出ることになっていたのだ。

 

「もう一度かけてみ。」

「ダメ~。松の携帯からかけてみてよ。」

「俺のぉ?」

 

「あ、ダメだ。」

「でしょぉ?どうすんの。」

「うーん。」

 

松さんは、白いタオル生地のヘアバンドをつけ、女優ミラーの前に座った。

 

「どうすんのぉ。」

マーキンは、松の肩にさわった。

 

「あれ、他の人は。」

スタッフのレイちゃん♂がドアを開けた。

「いないの~。」

「え‥。」

「うん。」

「じゃ、ちょっと自分、連絡してみますんで。」

 

「ちょっと俺も~。」

マーキンは部屋を出て行ってしまった。

 

「あ~そういえば、メール見てなかった。」

松はメールボックスを開いた。

 

「お~来てる来てる。」

カグちゃんから、写メールが届いていた。

 

「ん、この子誰。」

そこには、メガネで少しだけ太ったファンの女の子とカグちゃんが写っていた。

 

マーキンは、コーラを持って、部屋に入ってきた。

 

「え、メール?」

「うん、ほら。」

「この子‥誰?」

 

「ダメです、連絡つきません。」

「レイちゃん、ほら。」

「え‥。」

「カグちゃんからメール入ってた。」

「あーホントですね。今日、ロケ、あったんですね。」

「いやいや、俺達も聞いてないから。」

「ふーん‥。」

レイちゃんは、しげしげと、カグちゃんとファンの写真を眺めた。

 

生放送まで、あと20分にせまった。

「どーする。」

「こんな時のために奥の手があったでしょう。」

マーキンは立ち上がった。

 

一時間後。

「ないよね、奥の手なんて。」

「あると思ったんだけどぉ!!」

結局、アラツの代わりに、先輩が出てくれることになった。

 

「今、捜索願いを出しましたんで。」

レイちゃんがドアを開けた。

「あっ、はい。」

マーキンが答え、松はニヤニヤと笑っていた。

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