多久さんの事件簿 【霧ヶ峰に温泉旅行編③】5

February 18, 2018

多久さんの事件簿【霧ヶ峰に温泉旅行編③】5

トウナは無我夢中で崖を登っていた。

「トウナさんっ。」

振り向くと、大ちゃんと伸がついてきていた。

 

「え‥。」

「僕達も行きますよ。」

「うん‥。」

 

 

「トウナ、多久達は来てない。腹黒い奴らだから。」

伸が言った。

「主役にふさわしくないですよね。」

大ちゃんも言った。

 

トウナは目がかなりいい。

その上、霊感もある。

大ちゃんは優しいだけだったが、伸には霊感があったので、トウナと伸の霊感、靴の跡をたよりに、山賊の場所を目指した。

 

ザザッ

3人は止まった。

 

「うわ‥なんだろ。」

トウナが顔をしかめた。

 

気味の悪い風が吹いた。

 

「わぁぁ。」

ハクが顔をだした。

 

「なーんだ。ハクさんか。」

 

「どうして‥ここに?」

「スポーツ選手とドッジボールなんて怖いからさ、朝からずっと山の中にいたんだよ。クーン親子とミンクもいるよ。」

 

「‥そういえばいなかったですよね。」

ハクの後ろを歩きながら、大ちゃんは伸に言った。

 

クーン親子とミンクは、大きな木の下で、どら焼きを食べていた。

「僕、大切な試合の時は、いつもこれなんです。」

ミンクは言った。

 

「はい。まだあるから。」

ミンクは3人にどら焼きを渡した。

 

ミンクはハクを、『ハク兄ちゃん』と呼び、クーン親子とミンク、ハクは、笑いながら、たわいのない会話をしていた。

 

「あのさ‥下で人が殺されたんだ。」

「えっ!人が?」

「そんな‥。」

「なんか‥知らない人だけどね。俺と伸ちゃんが、昨日話した人達だったから。」

みんな目をふせた。

 

「でも‥どうしてここに?」

「えっ、それは‥。」

 

「実は事件現場で見えたんです。木の上から人が見ているのを。」

「え‥。」

「じゃあ犯人を捜してるの?」

「うん。」

 

「ゲーム、って感じですよね。」

ミンクが言った。

「試合は舞台だって、お兄ちゃんが言ってるから。」

「そうだな、でもこれは、命がかかったゲームなんだ。」

「うん。」

 

「俺達はまだアイツらを探すけど、ここにいてもいいぞ。」

「あ‥もう行きますか。」

「早い方がいいだろ。」

 

「行くよ。」

クーンが言った。

「じゃ、俺も行くか。」

クーンのお父さんも言った。

 

「どうする?」

「行く。」

ミンクも答え、みんなで山賊を探すことになった。

 

 

その頃、旅館には、リポーターの仕事を始めた新島とカメラが来ていた。

「こちら、事件があった現場から、一番近い旅館です。」

「第一発見者のダミエルさんに話を伺いましょう。‥ダミエルさん、殺された夫妻はどのような状態でしたか?」

ダミエルはすすり泣きを始めた。

「僕が‥ブルーシートの上に座ろうと‥したら‥人の感触があり‥めくってみたら‥亡くなって‥いました。」

ロニーがダミエルの背中をさすった。

 

「そうですか‥こちらが、現場にいた男性達ですね?」

カメラは、ヤマ達を写した。

 

新島総は、岸道さんにインタビューをし、岸道さんは、僕達は何もしていないというような主旨の回答をした。

 

高選手は、ソファーに座ってうなだれていると、日比野が言った。

「‥前もこういうことありましたよね?ほら、五輪の時。」

高選手は、鼻で笑った。2人はレスリングで五輪に出た。

 

山賊達は殺人鬼のことも、仲間であれば、かばっていた。

そもそも山賊は、宮高組と呼ばれ、もちろん、映画監督の宮高キヨシさんとは関係ないが、そうでもないと、自分達は言い張っていた。

 

でも歴史は古く、五人組の延長だった。

 

マージンの同級生の女の子美幸も、宮高組の1人の女に殺された。

殺した女の名前を山田ワムという。

 

「あっ、マージン。今度、よかったら、お茶しない?」

「お茶?うーん、また、暇があったらね。」

 

 

「ねえ、いつ会える?」

「会う?会うって、ティーでしょ?」

「まあ、そうだけど。こっちは付き合うのが前提だから。」

「付き合うっ?!俺はぁー‥そっちまで考えてないけどな。」

「ふーん。つまんない。男と女って、そういうのがなければ意味ないじゃん。」

「そう?そんなことはないんじゃない?」

 

美幸とマージンは会うことになった。

 

「私、茶道習ってるんだ。」

「いいね。でもなんの役に立つの?」

「役に立つっ?別に、そういうんじゃないから。イイ女のたしなみなんで。」

「へぇぇ。じゃ、頑張って。」

「あっ、今度、お茶席があるから来ない?」

「うん。じゃ、女と行くかも。」

「なんでぇ?イケメン連れてきてよ。」

 

マージンは、1人でお茶席に行った。

「来てくれたんだ。」

「着物の帯、垂れてるんじゃない?」

「ああ、こういうものだから。」

美幸は余裕がある感じだった。

 

美幸の師匠である、山田ワムはマージンを捉え、息を軽く飲んだ。

山田ワムは、年齢詐称をしており、愛に飢えた女だった。

 

いつか、色男に抱かれることが、山田ワムの願いであり、夢だった。

 

山田ワムが、年齢詐称をしているわりに、先生になれたのは、

レズ行為を山田ワムのまた先生としたからだった。

 

山田ワムは、お茶席の後で、さりげなく、美幸に聞いた。

「ねえ、彼氏さん?」

「え‥?」

「さっき、男の人、来てたでしょ?」

「あぁ~‥。」

美幸は首をひねった。

美幸は山田ワムが苦手だった。

 

「別に、彼氏とかじゃないですよ。」

「ふーん、そなんだ。じゃ、狙っていい?」

『はぁ?』

「ごめんごめん。ちょっと冗談だから。」

美幸は苦笑いした。

「トーゼン、ですよね。」

「うん、うん。ちょっとからかっただけだから。」

 

美幸は、京都でのお茶席に呼ばれることになる。

美幸はとても喜んだ。

「ええ、ホントですか?」

「うん。ただ当日は泊まる部屋がなくて、ダブルベッドになっちゃうかもしれない。でも、大丈夫。私とだから。」

「よし!ってぇ、それはダブルベッドのことじゃないけど。」

 

当日。

「ええ?冗談じゃなかったんですか?」

「ああ、ごめんね。ホントにこの部屋しか空いてなくて。」

 

「嫌なら、他の先生と変わる?」

「うん。女同士でダブルなんてありえないから。」

 

山田ワムは、他の先生達に聞きにいったが、みんな断った。

 

「嘘でしょ?こんなの親としかしたことない。」

 

山田ワムは伏し目がちにした。

 

ブルル。美幸の携帯は揺れた。

電話は、マージンからだった。

 

「はい、もしもし。」

―大丈夫?なんか変わったことがあったみたいだけど。

「さっきのメール?ああ、気にしなくていいよ。」

―いやいや、今晩死ぬと思いますなんて、気にしなくていいわけないでしょ。

「ああ、やだぁ。ごめん、あれは嘘だから。」

―へぇ。じゃ、今はどこにいるの?

「京都。お茶席に出席するから。」

―そうなんだ。

 

山田ワムはコホコホと咳をせいた。

 

―あれ、誰かいる?

「うん。山田さん。先生なんだけどさ。一応‥。」

―じゃあ、僕が話しますよ。その人と。

 

「先生。ちょっと代わって。」

「えっ?私が?」

「うん。」

 

「あのぉ、もしもし。」

―あ~どうもどうも。

「え~っと‥お名前は?」

―ああ、僕は宮高マージンです。

「ああ、宮高さんね。美幸ちゃんのお友達?」

―そうなんです。あの~美幸さんのことなんですが、ちょっと、彼女は情緒不安定なものですから、よろしくお願いしますね。

「そうなんですか?」

はい。

「あの‥付き合ってるんじゃないなら、私とも‥。」

山田ワムは小声になった。

 

―は?

「だから、付き合ってないんでしょ?」

―いやいや、お付き合いをしております。

 

マージンは美幸のために嘘をついた。

 

「ああ、そうなんですか。では、仕方ありませんね。」

 

山田ワムは、悲痛の面持ちで、美幸に電話を代わった。

 

「ああ、マージン?ごめんね、電話そっちからなのにさ、長々と。」

―いいよ。そんなことは。

「それに彼女さん‥大丈夫?」

―ああ~平気平気。てか、今はいないよ。

「そっか。じゃ、グッナ~イ。」

美幸はチュッとした。

マージンも電話を切った。

 

美幸は明るい気持ちになった。

 

深夜11時。部屋の明かりを消した。

掛け布団を2枚用意してもらったので、美幸は少し安心したが、

深夜12時頃、山田ワムは美幸の体をさわった。

 

「何やってるんですか!!」

美幸は怒った。マージンに電話したが、もう寝てしまっていた。

美幸は泣いた。

 

「ごめんごめん。あんまり大きい声を出したら、聞こえるから。」

「だって触ってきたでしょ?」

「ちがうの、ちょっと布団から出てて、あんまりだったもんだから。」

 

「もういいから。あんたのこと、ホント嫌い。」

 

「嫌いでもなんでもいいから、今日はもう寝よ?」

 

美幸は、はあはあ怒りながら、トイレに行った。

 

山田ワムは、毒をいれた、お茶をいれた。

「あの‥これ。落ち着くと思うから。」

 

「うっざ。自分が飲めば?」

「いや、私はいいよぉ。美幸ちゃんにだもん。」

「ふ~ん。そんなものに騙されるもんですか。」

 

そう言いつつ、美幸はお茶を飲み、ベッドに横になった。

「うえっ!うえっ!」と、大きな声で言い、少し、吐いて、死んだ。

 

「はい、騙されましたね。」

山田ワムは言った。

 

山田ワムはトイレに行った。

すると、美幸が持ってきたシャンプーが置いてあった。

そして血の気が引いてしまった。

 

「どうしよう!!!」

 

「美幸ちゃん、美幸ちゃん。」

美幸は起きなかった。

 

1時間ほど、ベッドに座って、ぼーっとした。

すると、どこかからか、「この気ちがい女!!」という声が聞こえた。

 

美幸の亡骸を見て、ワムはため息をついた。

 

ワムはそのまま寝てしまった。

 

「山田先生!!山田先生!!」

午前10時、多当先生が呼びにきた。

 

「はい‥。」

「起きたのね?美幸ちゃんは?」

「あの、まだ寝てます。」

「ええ?ちょっと入るわよ。」

 

「美幸ちゃん、美幸ちゃん。」

 

「嘘‥でしょぉ‥!!!!」

 

「山田さん、やったのね?!」

「違います、起きたら、こうなってたんです。」

 

「そんなことあるわけないでしょう!!

あなたと寝ていたんだから。」

 

「ええ‥。」

 

「ああ、藤崎先生、来たわね。美幸ちゃんが息してないの。でも、救急車を呼んでちょうだい。」

「ええっ!」

藤崎先生は、おろおろしながら部屋に入ってきた。

 

「そんな‥。」

「藤崎先生、救急車。」

「ダメ、私にはそんなこと‥。」

藤崎先生は倒れこんでしまった。

 

警察も来て、みんなに事情聴取をした。

「山田さん、美幸さんが亡くなったのは何時頃ですか。」

刑事は目をまっすぐ見て聞いた。

「わからない‥だって起きたらこうなっていたんだもの。」

 

刑事は悲しそうだった。

 

「でもね、もしも、あなたが毒を持っていたなら。」

 

ワムは目を見開いた。

毒を捨てるのを忘れていたのだ。

 

「荷物を調べますよ。」

「ダメ!!人の荷物だよ!!」

「ちょっ‥それじゃ、あなたが第一容疑者です。」

「ちがうよ!!待って、娘のものもあるんだから。」

 

ワムはトイレで毒を飲んだが、死ねなかった。      

 

ワムは大泣きした。

 

ワムのことは、宮高組に伝わった。

宮高組は、ワムを、命をかけて守ると約束し、美幸の葬儀にもみんなで行った。

 

みんなで多当先生の家に押し掛け、ワムが無罪だと主張した。

多当先生は本当に悲しかったが、旦那さんが了承した。

 

ワムは多当先生の殺害を計画したが、うまくいかなかった。

 

ワムは2年ほど、茶道の世界から遠ざかったが、また復帰した。

多当先生はもう来ていなかったが、たまに教室に顔を出すと、

ワムをギョッとした表情で見た。

 

安らかな日々が続くと思った。

 

でも、ワムは生徒から嫌われ続け、ついに大人2人を殺してしまう。

 

お茶に強いお酒をいれたのだ。

2人は運転して帰り、交通事故で死んだ。

 

そしてまた、ワムを宮高組が守った。

守られるには200万ほどがかかる。

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