多久さんの事件簿 【霧ヶ峰に温泉旅行編⑦】9

February 18, 2018

多久さんの事件簿 【霧ヶ峰に温泉旅行編⑦】9

「はあはあ。」

ヤマは、山の中をかけあがっていた。

 

ナツは、息を切らしている。

「早いっすよ。」

トーマも言った。

 

「いやぁ~。俺、クソしたくなってきちゃったなぁ。」

多久が言うと、マロがヘラヘラ笑った。

「お前、そこらへんでしてこいよ。」

リンチルがつっこんだ。

 

「つべこべ言ってんなら、置いてくぞ。」

ヤマは睨み、また走り出した。

「ちょっと待ってよぉ。」

ナツ、トーマもヘラヘラしながら後に続いた。

 

「行く?それともする?」

リンチルが聞いた。

「え‥。」

 

「いいんすか?」

「するなら、してこい。俺はもう行く。」

ヤマは鼻で笑い、行ってしまった。

 

「すんのか?」

マロが聞いた。

「じゃしてくるわ。」

多久は行ってしまった。

 

「はああ。」

実際、多久はクソをしたかったわけではない。

気になったことがあったのだ。

とりあえず、木に手をついて、休んだ。

 

「ふう。」

少しだけ戻った。

「リボン‥。」

大人の女性もつけられるような可愛いアクセサリーが落ちていた。

「と、腕。」

 

「これって、腕だよね。」

多久は腕を持った。

 

「おーい、大丈夫かぁ。」

マロとリンチルが様子を見に来た。

「ひいい。」

「それ何?」

 

「腕だよ。」

多久はヘラヘラしながら、腕と握手した。

多久はスポーツ選手なので、腕を大切にしている。

死体の腕でも、大切に想わないと、自分の腕に支障が出ると考えていた。

 

「嘘だろ。」

マロも腕を持った。

「多分コレ、女の人だ。」

「だね。男にしちゃ、細すぎる。」

 

「無理。」

リンチルは震え、触らなかった。

 

「どうすんの、それ。」

リンチルは聞いた。

「置いてく‥?」

「うん。」

多久とマロは目を合わせた。

 

ザッ。

3人がハッとして振り向くと、クーン親子がいた。

 

「あれ‥。」

クーンは呆然としている。

「それはっ。」

クーンパパが走ってきた。

 

「ああ!」

クーンパパは険しい表情で腕を見た。

 

「すっぱりやられてる。」

うわぁ~‥クーンパパは腕を調べた。

「熊だね、こりゃ。」

「熊ですか?」

「うん。多分食いちぎられたんだ。」

クーンパパが言った。

 

「俺達、もう降りるでさ。持ってくか、コレ。」

「え‥いいんですか?」

「うん、いいよ。途中で本体に会えるかな?」

クーンパパが言った。

 

「あの、トウナ達が捕まっちゃって。」

クーンは、言った。

 

「ええ!」

「すみません、逃げてきてしまって。」

「当然だよぉ。1人でも生きていた方がいいし。」

多久はにこやかに言った。

多久は、トウナの仕事での活躍にまだ、嫉妬していた。

 

マロとリンチルも思わず笑ってしまい、クーンも少し表情を明るくした。

「じゃ行くか。」

「うん。」

多久、リンチル、マロは、また、山賊の本拠地を目指した。

 

はあはあ。

高選手と日比野は右回りの、道のないルートで山賊の本拠地を目指していたが、

途中、山賊の洗濯が干してある場所に遭遇したりして、結局、ヤマ達のルートの方に来てしまっていた。

 

「さっき、洗濯場の所にさ、男性1人いたよな。」

「見張り‥じゃないですか。」

2人は話した。

「あっ。帽子。」

「あ~、リンチルのだ。」

「なんで?」

高選手は帽子をかぶった。

 

「あっ、財布だ。」

 

「免許も入ってる‥。綺麗な人ですよ、ほら。」

「ホントだ。なんでこんな所にあるんだろう。」

2人は懐中電灯で照らした。

 

「ああっ!」

女性の上半身がうつ伏せに転がっている。

日比野は仰向けにした。

 

「ええっ!」

女性の顔は食われ、頭蓋骨が見えていた。

 

「顔が全部ない。」

高選手は貧血っぽくなってしまった。

日比野はもともと医者になりたかったので、平気で調べた。

 

「うわぁ、酷い。」

体は胸と腹の肉だけが喰われ、腕は左腕の二の腕までしかなかった、

もちろん足もない。

下腹部は、食べられてはなかった。

 

「俺、もうダメだ。」

高選手は座り込んだ。

 

2人は懐中電灯で照らされた。

クーン親子だ。

 

「高選手と‥日比野さん?」

クーンが聞いた。

 

「クーン。無事だったか。」

「お父さんも。」

高選手と日比野が言った。

 

「トウナ達が捕まったらしくて。多久さん達が今、向かってます。」

「そっか。俺達も向かっていたんだけど、道に迷っちゃって。」

「方向はあちらです。」

クーンが指さした。

 

「それがさ‥。」

高選手と日比野が女性の遺体を見せた。

 

「ああっ!」

クーンパパが女性の遺体に駆け寄った。

「この腕の子だね。」

リュックから腕を出した。

 

「ええっ。」

「さっきね、拾ってきたんだ。」

 

クーンパパが上半身に腕をつけ、確認した。

「おい、シートだせ。」

クーンパパが言い、クーンはシートを出した。

 

「これに包んで、持って帰る。」

高選手と日比野は無言で見守った。

 

「よし。」

クーンパパは女性をかついだ。

「これ財布です。」

 

クーンが財布を受け取った。

 

「方向は、あちらですから。」

クーンが振り向き言った。

「おう、ありがとう。お父さん、その人をよろしくお願いします。」

「おう。気をつけろよ。」

クーンパパは答え、高選手と日比野は本拠地を目指した。

 

「あれ。これさぁ、どら焼きの包み紙じゃん。」

多久が拾った。

「おっ。山賊の本拠地が近づいて参りましたねぇ。」

マロが言った。

「一応、持ってくか。」

多久はポケットにいれた。

 

歩きながらリンチルが言った。

「山賊もそのどら焼き、食べんだな。」

「だねぇ。うまいから。」

マロはバッグから、お菓子を出し食べた。

「ちょっと、俺にもくださいよ。」

多久がたのむと、

「半分な。」

マロは言い、多久とリンチルに半分ずつ渡した。

 

 

ダミエルの組‥。

とりあえずリフトに乗り、頂上に行くことにした。

 

ダミエルは頭がおかしくなり、リフトの上で立ち、リフトを揺らしたりした。

ロニーとマイクルが止めたが、ハラハラしっぱなしだった。

「キエーッ!!」

ダミエルは叫び声をあげた。

 

途中、ダミエルは山賊が落としたと思われる帽子を拾い、かぶった。

 

 

旅館に残ったマージンは、車のキーを持ち、外に出た。

「待って。どこ行くの。」

「俺、帰るわ。」

「嘘でしょ!マジで?」

「うん、ごめん。」

岸道さんが止めたが、マージンは車を出した。

 

 

「なあメン。」

「うん。」

「なんでこんな事になったんだろうな。」

「うん‥。」

清明(あきら)とメンは話した。

2人は、死体のやぐらを見て、怖くなって逃げだしたのだ。

 

2人は青年自然の家を目指した。

マージンもそうだった。

 

「あれぇ。どうしたの。」

「ああ、こんばんは。すみません、夜分遅くに。」

青年自然の家からは、木嶋さんという男が出てきた。管理人だ。

「いやいや、そんなに遅くないよ。久しぶりじゃん。」

「はい。」

木嶋さんは、清明とメンが高校生の頃からの、キャンプの先生だった。

 

「どうした?突然だけど。」

木嶋さんは事務室で、清明とメンにお茶をいれ、聞いた。

「すみません。」

メンの目からは涙がこぼれた。

2人が一部始終を話し終えると、木嶋さんは机に肘をつき、うつむいて頭を支えた。

「すみません。」

「いや、すみませんで済ませされることじゃない。」

2人は泣いた。

「人を、殺したってこと?」

「殺してません。」

2人の目から、涙がこぼれた。

 

マージンは青年自然の家まで来た。

「明かりついてるー。」

 

「みんなで来た思い出の場所。」

マージンが玄関から中から覗くと、清明とメンと木嶋さんが事務室から出てきた。

「あっ、こんばんは。」

「ああ。どうしたの?」

「いやぁ突然すみません。帰る途中なんですけど、思い出の場所なんで、ちょっと寄ってしまって。」

「そうだったんですか。」

 

「ちょうど、こいつらもいますから。」

木嶋さんは言い、マージンは、青年自然の家に上がることになった。

 

 

ヤマ、ナツ、トーマは、山賊の本拠地にたどり着いた。

 

なんと、ハクとミンクは、木にのぼり、様子をうかがっていた。

「ミンク。」

すぐにヤマとミンクは、お互いを見つけた。

 

 

「生贄の者達です!!」

山賊が叫ぶと、死体のやぐらがかつぎこまれてきた。

わあああ!!

山賊達が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

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