夢の中でもののけ森に入ってみた

February 24, 2018

夢の中でもののけ森に入ってみた

 

気づくと、私はヤックルに乗り、美しい森の中にいた。

 

「出よったぞーッ!!」

タタリ神である。

 

「アシタカーッ!!やれいッ!!」

見事、弓はタタリ神に命中した。しかし、タタリ神は追ってくる。私は映画で観たように、腕をさしだした。

「うおおお。」

『もう一度だ。』

矢は当たり、タタリ神は死んだ。

「愚かな人間共よ、我が苦しみと憎しみを知るがいい。」

恐ろしい鉄の臭いだ。それは、血の臭いだった。

 

「アニ様!」

カヤは、涙目で寄ってきて、私の腕に土をかけた。

「あああ。」

「大丈夫です、この村の土は、綺麗ですから。」

弥作も言った。

 

「カヤ、それ以上、触るでない。この水をかけておやり。」

ひい様が来た。カヤは、水を私の腕にかけた。

 

夜、呪いを受けた私の行く末を、話し合うための会議が行われた。

「アシタカ彦や、村を出る覚悟はあるかね。」

「はい、矢を射る時、心を決めました。」

「西の方に悪い噂がある。動物は人間の心を持ち、人間を支配しようとしているという噂じゃ。」

私は、無言でうなずいた。

 

「アニ様!」

「カヤ。」

「これ、玉の小刀です。いつもアニ様を想っています。」

「私もだ、いつもカヤを想うっ。」

ヤックルに飛び乗り、村をでた。

 

村があり、市をやっていたので、米を買うことにした。私は、映画で見た通り、砂金の大粒をだすと、女は騒ぎ始めた。

「ちょ、ちょっと待った。女、これは砂金の大粒だぞ。これさえあれば、米10キロ買える。嫌なら銭は俺が払う、これを譲ってくれ。」

映画より、スマートで若い男が、ジコ坊役のようだ。

 

「先ほどは、どうも…。」

「いえいえ、俺は一目見た時から、あなたに惹かれていたんですよ。俺はそっちのケがありましてね。」

私はうつむいた。今晩はこの男と過ごすことになるのだ。

 

「ん、粥みたいなもんです。」

食べてみると、参鶏湯のような味で、とても美味しかった。

念のため、私は旅の理由を話した。

「獅子神の森に?あそこは危険ですよ。」

ジコ坊は、粥をすすりながら言った。

「でも行かないと、僕の命が助からない。」

私も、このゲームにクリアしなければ、現実社会に戻れなくなると感じていた。

「人は皆死ぬ。遅いか、早いかだけだ。この歯を見てください、取れたんです。」

私は、ジコ坊をちらりと見た。

 

ジコ坊は布団をひいてくれた。

「今夜は、二人仲良く寝ましょう。」

私も疲れ切っていたので、男になりきることにした。

 

ジコ坊は、すりよってきたが、私は寝たふりをした。

 

朝、ジコ坊は、朝食を作ってくれていた。

「昨日の晩、すまなかったですねえ。」

「いえ、こちらこそ。」

「あなたは、腕の立つ方だ。」

私は寒気がした。

 

ジコ坊と別れ、ついに本格的に獅子神の森を目指すことになった。

 

 

私が、獅子神の森に到着する前日の夜、タタラのエボシと石火矢衆によっての、『山犬退治』が行われていた。

「出たぞーッ。」

石火矢の1人が叫んだ。

「エボシ様…出ました。山犬です。」

ゴンザが言うと、エボシは銃の調整をした。

「エボシ様ぁ~…タタリは恐ろしいです。石火矢の奴らにまかせましょう。」

「いや、私がやる。黙っておれ。」

「ええ、でもエボシ様ぁ~…。」

ゴンザは、エボシが普通の女に戻り、自分の妻になってくれることを望んでいた。

 

バン!!

エボシより先に、ゴンザの銃が火を吹いた。

「おい、貴様、何をしてくれるっ。」

「エボシ様。貴奴は俺がやりますゆえ。」

エボシは、悔しそうな表情をした。

 

「モロだー!」石火矢衆の1人が叫んだ。

モロは人間を何人か、谷へ突き落した。

 

「モロ、来い。」

エボシは、モロを撃った。しかし、構わずモロは突進してくる。ゴンザが火炎を浴びせ、モロは谷に落ちた。

モロは命がけだった。人間などいない、獣だけが住む、神の国を取り戻したかったのだ。

しかし、モロとて、山犬である。頭は人間ほど良くなかった。

 

 

「エボシ様、やりました!!」

「貴奴はこれくらいでは死なん。行くぞ。」

エボシはマントをひるがえした。

 

 

私は、大きな木の幹の間で寝ていた。起きると11時過ぎだった。

ヤックルが少し鳴いた。いよいよ山犬達との対面である。

石の間からのぞくと、もののけ姫と山犬三匹がいた。

どうやら、もののけ姫役は、私の妹のサンのようだ。

「あ、サン。」

「え、お姉ちゃん?ごめんね、私、山犬と行かなきゃいけないから。」

モロも、私をちらりと見て、行ってしまった。

 

「わああ!」

先ほど助けた、人間の1人が、目を覚ましたようだ。

「どうしたんですか?」

「コロコロだぁっ。」

「はっ、木霊ッ。大丈夫、何もしない。」

一匹の木霊が、幸六に飛び蹴りをした。

「いってぇ。なんかチクッときたぞぉ。」

もう一匹の木霊は、幸六の指をかんだ。

「あ~なんてカワイイ。」

「おお~。そうかそうか。」

幸六も、木霊を気にいったようだ。

 

「うう~‥。」

もう1人の人間が、うめき声をだした。

「大丈夫ですか?」

「はい。でも、立てなくて。」

 

「仕方ねえ、その人は、旦那がおぶるだよ。」

「はい、じゃあ、乗って。」

 

私は、幸六と直介を連れ、タタラを目指すことにした。

「おお~おっかね、ここは、獅子神の森ですぜ。」

「そのようですね。急がなければ、この人の命が危ない。」

「大丈夫ですって。空腹で腹が痛いだけですから。」

直介が言った。

「暇なんで、しりとりでもしますか。」

幸六が提案し、私達は、しりとりをしながらタタラを目指した。

 

森の中の池に来た。

「ここは、獅子神様の池ですね、旦那。」

「ええ、そのようですよね。うっ。」

一匹の人面鹿と目が合い、私の腕が痛みだした。どうやら、その人が獅子神のようだ。まるで、私にかけられた呪いが、獅子神に怒っているかのようだ。

 

「大丈夫、ですか…。」

「ええ、大丈夫です。先を急ぎましょう。」

2時間ほど歩くと、ようやくタタラが見えた。

 

「旦那ぁ~、着きました。タタラ場です!」

「本当だ。」

「ここまで、あっという間でしたなぁ!」

「なーに、直はずっと、旦那におぶわれてぇ!」

幸六と直介は笑った。

「ここで、顔確があるんで。」

私はつばを飲んだ。

 

「は~い、お疲れ。あれ、二人、戻ったのぉ!」

「失礼な言い方だな。俺達は、不死身ですぞ!」

「こちらの方は?ずいぶんイケメンのようやけど。」

「アシタカ君。タタリ神から、呪いを受けてしまって、それを解くための旅の途中だそうです。ずっと直をおぶってくれました。」

「え、そうやったんすか。では、ようこそ。タタラへ。」

船に乗せてもらい、タタラへ入ることができた。

 

「幸六~生きとったんかぁ!」

「乙訓(おとき)!」

「このグズ!旦那がケガしたら、どうやってうまいもん食ってくのさ。」

乙訓役は、とても愛らしい女性だった。

「乙訓ぃ、許してくれぇ。」

 

 

「乙訓、それくらいで堪忍しておやり。」

「ええ~でも、エボシ様。こいつにはきちんと言ってやらないと分からないんですから。」

「私が一発で、モロを仕留めていれば、こんなことにはならなかったのだから。」

「いーや!モロはバケモノだ。いくらエボシ様でも、一発で奴を倒すことなどできるわけがない!」

ゴンザが、口をはさんだ。

「そうです、エボシ様は悪くないですよぉ!」

 

「ん、あなたは…?」

乙訓が、私の顔をのぞきこんだ。

私がマスクを外すと、乙訓と村娘たちは、苦笑しつつ、「いい男~っ。」と言った。

「ねえ、エボシ様のことは知ってる?タタラの村長なの。いい、絶対、エボシ様には、逆らっちゃダメだから。」

「わかりました!」

「今日はちょうど、与作じいさんの誕生祝いがあるから、あなたも出るといいわ!」

エボシと村娘が言った。

 

映画で見た通り、私は宴会に出席した後、タタラを見学することにした。

乙訓さんや村娘たちは、映画通りの歌を歌いながら、仕事をしていた。

 

私はその場を離れ、エボシの小屋にむかうことにした。

「来たか、若者。ここは私だけの庭でね。入りなさい。」

小屋に入ると、包帯で体をぐるぐる巻きにした人達が、何人も寝ていた。

ゴンザも看病をしている。

 

「あの、森をどうするつもりですか?」

私は、念のために、2人に聞いた。

「獅子神を退治するつもりだ。獅子神の血には、癒しの効果があるらしいからな。」

ゴンザが答えた。

突然、私の腕がうずきだした。映画で見た通りだ。

「ん、どうしたんや。」

「なんでもありません。」

腕は剣を取り、エボシに向かおうとしている。

エボシは、こちらを見据えた。

 

 

「お若い者よ、その人を殺さないでください。その人は、私の腐った皮を拭き、布を巻いてくれた、優しい方だ。どうか、その方を殺さないで…ケホッ。」

「おさ、大丈夫か…。」

 

「おい、エボシ様に何するんや!」

ゴンザも、剣をぬこうとした。

「ゴンザよ、気にしなくてよい。」

私は気まずくなり、「来る。」と言い、その場を去った。

 

「もののけ姫が出たぞー!!」

見張り番の男が叫んだので、私も見張り台に登った。

 

サンはハチに乗り、壁に槍をさし、タタラに侵入した。その槍はハチがとった。

「サン、いつの間に、こんなことが出来るようになったんだ!」

私は聞いたが、サンは、ものすごいスピードで走り回り、行ってしまった。

私も急いで後を追った。

サンは獣技ジャンプで、高い屋根に登り、短剣をエボシに向けた。

映画通りの作戦が行われている。このままでは、サンの命が危ない。

「やめろぉぉ!!」

私は呪いの力を使い、木を、サンが落ちる少し前に落とした。

 

「サン、大丈夫か?しっかりしろ!」

サンは目を覚ましたが、我を忘れている。

「私は、そなたとは戦いたくない!」

私に短剣を2,3回ふり、行ってしまった。

 

サンは、エボシに突進し、決闘を始めた。

私は怒り狂い、映画通り、腕からは紫の触手がでた。

 

「サン、目を覚ませ!」

エボシとサンの腕をつかみ、決闘を止めた。

「エボシ様、あなたの中には夜叉がいる。それは、この娘の中にもだ!」

心の中で、『サン』と言うと、サンはぐったりした。

「訳の分からぬことを言うな!その右腕、切り落としてくれるぅっ!」

エボシが、大針のようなものを取り出した瞬間、ゴンザが止めに入った。

「エボシ様、そこまでです!」

「ゴンザッ…。」

エボシはぐったりした。

私はサンをかつぎ、タタラを出ることにした。このままでは、サンが殺されてしまう。

「夫の仇、とってもらうよ!」

村娘の1人が、私に銃を向けた。

しかし、私がまっすぐに村娘を見ると、止めてくれた。

私はヤックルを連れ、タタラを出ることが出来た。

 

 

タタラを出ると、ハチは人間に変身した。

「お姉さん、僕の名前はケンです。」

「はじめまして。」

私はヤックルに乗り、頭を下げた。

 

 

ガッ。

私の頭に木が当たった。

「木、植えた。人間沢山切る。意味ない。」

「諦めず、植え続けろ!それが清浄(しょうじょう)の役目だろ!」

「もののけの姫、人間。俺達人間食う。」

「それはどうゆう意味だ!!!!」

ケンは、かなり怒っている。

「ひぃぃ。」

清浄は逃げてしまった。

 

「あいつら、森を綺麗にする、精霊なんです。元々は、人間なんですけど、もう心を亡くしてしまっている。清浄という精霊になることで、森に暮らすことを許されているんです。」

「そうなんですか。」

私は、下を向いた。

「案内します。」

 

「ここが、獅子神の池です。すみませんが、一晩はここの芝の上で、寝てもらいます。」

私は、不安気にケンを見た。

「獅子神様は多分、あなたを許すと思いますよ。この布をかけて寝るといいですから。」

私が横たわると、ケンは私に布をかけた。

 

ぼんやりとした夢の中で、サンは、木を私の頭の上にさした。

獅子神が来る。ふっと息をかけると、木は枯れた。

獅子神が私に息をかけると、なんと空腹だった腹が、満たされた。

私は助かったのだ。

 

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃん!!」

「は‥。サン。」                 

「大丈夫?うなされてたよ。」

 

「サン。気をつけろよ。いくらお姉さんでも、今は男なんだから。」

「ねえ、何言ってるの?お姉ちゃんに嫉妬するなんて、いかれちゃった?」

「すいません。」

ケンは、雑草むしりを続けた。

 

「よぉ。旦那。無事だったんですか。」

ジコ坊が現れた。

「誰だ、お前は。ここは、獅子神様の御池だぞ。」

「物騒ですなぁ。私は、この旦那が気になって、ついてきただけですよ。」

「お姉ちゃん、知り合いなの?」

「うん、旅の途中で、お世話になった人なんだ。」

「ははは!世話になったのは、こっちの方ですわ。お前さん、ホントにいい腕をしておる。」

ジコ坊は、ニヤニヤと笑った。

 

ブヒー!!

乙事主(おっことぬし)と子分が来た。

反対側からはモロが来る。

 

「乙事主。なぜお前がこの森にいる。」

モロが言った。

「もうすぐこの森で、物の怪と人間の戦がおこる。モロさん、あなた達の応援に来たんですよ。」

「なぜそんなことがわかる。この森の中はまだ平和だ。出ていけ。」

 

「ブヒー!いや、もうすぐ戦がおこる。わしらは見たんじゃ。」

「山犬め、分かっていない!!」

子分達は騒ぎだした。

 

「わしらにとっての神、四万十様は時折、未来を教えてくれる…。見たのだよ、モロ。この森の行く末をね。」

「乙事主様…、目が…。」

ケンが言った。

「気にしなくていいよ、若いもん。でもね、次会う時は、ここにいる人間を殺さねばならぬ。すみませんね、わしらの掟なんじゃ。」

 

「人間とは、仲良くしてはいけない。」

ケンは、山犬に変身した。

 

「その掟を最初に破ったのはモロ、あなたです。」

「だまれ、豚めが。自らの命を守るために、人間が、投げてよこしてきたのがサンだ。サンが3つの時から、私が育ててきた。サンは物の怪だ。」

「ハハハハ!!」

イノシシ達は大笑いした。

ハチはケンに戻り、サンをかばった。

 

乙事主が、私を見た。

「ナゴの神の祟りだね。噂に聞いているよ。」

 

「兄弟から、タタリ神が出てしまった。ナゴの神は、私の弟だ。」

そう言って、乙事主は私の呪いの臭いをかいだ。

「残念だね。あなたはもうすぐ死ぬ。」

「覚悟は出来ています。この呪いを解くために、最後まで闘うつもりです。」

乙事主は笑い、行ってしまった。

 

ドンッ。

木から、男が降りてきた。

「わっ。」

ジコ坊が驚いた。

 

「エイン、いるなら、出て来いよ。」

「ごめん。」

 

エインはジロに変身した。

「ジロであり、エインです。よろしく。」

再びエインに戻り、私とジコ坊と握手を交わした。

 

この世界は、時間感覚が少し違っているようだ。

もう夕暮れになった。

「兄さん、俺、夕飯を取ってくるよ。」

エインは、どこかに行ってしまった。

 

ケンがジコ坊を見た。

「お前は、少し秘密を知りすぎたようだ。」

「どうする気だ、俺を。殺せ、殺したいのならば!!」

ケンは、顔をしかめた。

「何を企んでる?」

ジコ坊は、ニヤリと笑った。

「別に何も企んでないっすよ。」

 

エインがとってきた食材で、ジコ坊が料理を作った。

焼き鶏肉や、キノコ汁である。

「兄さん、料理上手なんですね。」

エインが感心した。

「長年、独り身を貫いていると、自然に身に着くんですよ。」

アハハハハ!

モロは、1人で、岩の上で休んでいたが、他の者達は和んだ時間を過ごすことができた。

 

 

ジコ坊とケンは、山の見張り台に来た。

「ジコ坊さんっ。あの光、分かりますか。」

「はああっ!あれは…!!」

「獅子神様です。」

 

「はあああっ。これが、獅子神の変身かぁっ…!!」

「そうです、獅子神様は、午前0時から日の出までの間、夜の姿に変身します。」

ジコ坊は身震いした。

 

アシタカは、寝ている岩の外に出た。

モロは、岩の上で森を眺めている。

「モロ、人間ともののけが、共に生きる道はないのか。」

「馬鹿め。そんなこと、あるわけがない。私は人間を滅ぼし、太古の時代の森を取り戻したいのだ。」

「では、サンは…サンはどうする!!」

「サンは私の大事な娘だ。もののけと結ばれれば、もののけの子が生まれよう。乙事主の言うことは、間違っていなかった。貴奴の言う通り、もうすぐ、戦がおこる。あの女が明日にでも、兵をあげて森に来るだろう。」

「それではモロ、逃げるんだ。乙事主が住む、四国はまだ安全だ。人間は、手を出してはこない。」

「黙れ小僧!!まだ分からんか。あの女を殺せば、人間の勢力は衰える。人間を滅ぼすことができるのだ。」

 

「小僧。明日は戦だ。今日はもう、休んだ方がいい。」

モロは、目を閉じてしまった。

 

次の日、エインが私を起こした。

「姉貴、朝ごはんありますぜ。」

「あ、もうこんな時間だ。」

岩には、湧き水が流れている。それで顔を洗った。

「山ぶどうと、ジコ坊さんが作ってくれた、御粥です。」

「うまい!!」

「ジコ坊さん、料理うまいですよ。僕の嫁にほしいです。」

エインは、リスと遊んでいる。

 

サンが、ハチに乗ってきた。

「これから戦だよ。」

 

私は聞いた。

「そっか。ジコ坊さんは?」

「ジコ坊さんなら、仲間の所へ行ったよ。」

「仲間の所へ?」

「獅子神を殺すために、仲間を呼びに行ったんだ。」

「それでは、モロや乙事主達は…。」

 

「もういいだろ!!獅子神を殺さなければ、俺達は、現実に戻れない。」

ケンがキレ気味で言った。

ケンもエインもジコ坊も、もちろんサンも、現実から来ている者達だった。

人間はみんなそうだ。もののけを倒し、人間だけの世界を取り戻さなければ、現実に帰ることが出来ない。

 

「お姉ちゃん。エボシの村に行って、共に戦うと知らせて。私とケンは、モロの所へ行ってみる。」

サンが言った。

 

ジロに乗り、村に向かった。湖の前で、ジロはエインに変身した。

 

「姉貴、それじゃ、よろしく。」

「わかった。」

エインは、アシタカに抱きついた。

「姉貴…俺、あなたのこと好きになっちゃったかも。」

「いや、ちょっと…。」

「これ、もらっていい?」

エインは、アシタカが下げている玉の小刀を手に取った。

「うん、いいよ。」

アシタカは小刀を外し、エインに渡した。

 

 

「あ、旦那ー!!」

「幸六さん、乙訓さん!!みんな無事ですかぁ!!」

 

わあああ!!

みんなが下に降りてきてくれた。

「えらいことです。イノシシが押し寄せてきて。」

「旦那、こっち。」

直弼と幸六が、私を案内した。

あちらこちらでイノシシが死んでいる。

 

沢山のイノシシが、山積みになっていた。

「ここはもう、全部燃やすしかないです。」

「でもぉ、この下にまだ生き埋めになってて。」

 

ガルルルル

 

私はハッとした。

音のする方に行くと、ハチだ。

「山犬だ!!」

男が言った。

 

「ちがうんです。この人は山犬じゃない…。」

「ええ!何を言ってるんですか。」

「助けなきゃ。」

「旦那!」

「仕方ない。‥せーや、せーや!

 

ハチは、ケンに変身した。

「私は人間です。私もあなた達と共に戦います。」

「人間でしたか!!」

村人達は喜んだ。

 

「お姉さんが行った後、すぐにイノシシ達が、タタラに押し寄せたんです。止めに入ったのですがダメでした。」

「サンは無事ですか。」

「ええ、でも今は、乙事主と一緒にいます。」

「ええっ?!乙事主と?!」

 

「お姉さん、乗ってください。」

ケンはハチに変身した。

 

その頃、サンは乙事主に、エインはモロに寄り添い、獅子神の池を目指していた。

エインはモロを愛していたが、みんなで現実に帰るために、モロを殺さねばならないことを考えていた。

実際には、エインが殺すのではなく、獅子神に殺してもらうのだが。

 

ジコ坊と仲間達は、イノシシや熊の毛皮を着て、まわりを囲んだ。

 

乙事主は、表からは傷は見えないが、細い弓が内臓に突き刺さり、かなりずきずき痛んでいた。意識はもうろうとしている。

モロは寝不足の上に、エボシに撃たれた時の傷が、ぶり返してしまっていた。

 

サンもエインも、映画を思い出していたので、緊張した瞬間がずっと続いていた。まわりの毛皮の人間もそうだった。

 

獅子神の池にて、乙事主とモロは倒れた。アシタカとケンも池に着き、アシタカは乙事主に駆け寄った。

「死ぬ時は哀れでありたいものだよ。」

乙事主は言った。

 

獅子神が現れた。

首を伸ばし始めている。

「リオトッ。作戦通りやるのだ。」

エボシが命じた。

リオトは、エボシが、獅子神殺しのために育てた、忍者である。

リオトは銃を向けたが、震えている。

「どうしたのだ、お前の教育には金がかかってるのに!」

 

「ええい、できないのならば、俺がやる。」

ゴンザがリオトの銃を奪い、狙いを定めた。

「ダメ!!」

リオトは銃を奪い返し、獅子神を撃った。

 

獅子神は映画通り、デイダラボッチになった。

 

みんなは池に入り、逃げる。

モロが目を開けた。立ち上がり、エボシに突進した。

しかし、乙事主も目を開け、エボシを守った。

モロは跳ね返された。エインがモロの所に行く。

「母さん。」

「ざまは無い。息子よ、母さんは勝てなかった。」

「そんなことはありません。」

モロは、息をひきとった。

 

乙事主も倒れていた。

エボシが行った。

「すまない。」

「美しい人よ。最期にあなたのような方に会えるなんて‥。はは、でもこれでさようならです。」

乙事主は目を閉じた。

「乙事主様!!」

エボシはうなだれ、サンは泣いた。

 

ジコ坊達が、獅子神の首を持って逃げていた。

「日が出れば、獅子神は死ぬ。」

「そうですね、もうすぐ日の出だ。急ぎましょう。」

 

サンは来ない。エボシ達といるのだ。

 

「太陽よいでよー!!!!」

ジコ坊達が叫んだ。

太陽があがってくる。

私達は、首を獅子神に返し、獅子神は死んだ。

 

目を開けると、ジコ坊と仲間達はもう起き上がっていた。

「いやー、腹が減りましたわ。」

何かを作っている。

 

私は、湖のほとりに行った。

「アニ様ー!!」

なんと、カヤと弥作だった。

 

エボシは、村の者に言った。

「私は、村長を退任する。後任は私の夫だ。ゴンザ、村長を勤められるな。」

「はい、エボシ様。」

ゴンザは頭を下げた。

 

私は美しい景色を見た。

しかし、かすんでゆく。現実に帰れるのだ。

 

 

「寝ちゃってたよ。」

起きると映画館だった。

 

エインは、玉の小刀を持っていた。

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