泡色の冬

February 27, 2018

泡色の冬

 

‥2010年の始まりから、2012年の終わりまでの3年間。ヒロト、カズ、ユキ。3人はずっと一緒だった。

 

「ユキ?何読んでんの?」

市立図書館で、カズが話しかけてきたので、ユキは顔をそむけた。

 

「なんで?受験終わってんじゃん。」

「別に関係ないでしょ。ヒロトは、まだ残ってるんだから。」

「そうだよな。大変だな、アイツも。」

 

ユキとカズは、同じ小学校に通っていた。

ヒロトは高校からだ。

 

この高校から、K大に受験するのは、ユキ達3人だけだった。

ユキとカズは、小学校がK大付属の学校だったため、推薦入学できたが、ヒロトはまだだ。

 

『向こうにヒロトいるよ。』

カズは言ったが、別にヒロトとは、仲良くない。

4階の自習コーナーのヒロトをちらりと見て、ユキは本を読みだした。

 

カズは、ヒロトに話しかけている。

『来て。』

カズは、ユキに手招きした。

 

ヒロトは、こちらを見て笑った。

 

「この子さ、俺の友達のユキ。もうK大、合格したんだよ。」

「ふーん、そうなんだ。」

『こいつはヒロト。』

 

「ユキちゃん、連絡先交換しよ。多分、縁起いいし。」

ユキとヒロトは、連絡先を交換した。

 

『ユキちゃん、俺が合格したら、また遊んでね。』

ユキは、メールを見てほほえんだ。

 

ヒロトは見事、K大に合格した。

 

3人は大学で、いつも一緒に過ごした。

 

まわりの女子達はジロジロと見たが、ユキは気にしなかった。

 

「大丈夫?いつも男と一緒だけど。」

「ヒロトとカズのこと?別に。みんなも仲良くできるよ。」

パンッ。

ユキが言うと、女子生徒は、ユキに平手打ちをした。

 

「大丈夫?今日、殴られたって。」

ヒロトが話しかけた。

カズはバイトで、今日はいない。

 

2人は一緒に帰った。

「手、つなぐ?」

「いいよ。」

ユキは断った。

 

「なんで?」

ヒロトは、ユキを覗き込んだ。

 

「別に、ヒロトのこと、恋愛対象として見てないよ。」

「ふーん、じゃあもう、一緒にいないよ。」

ユキは黙った。

ユキは、ヒロトとカズと3人で一緒にいるのが好きだったのだ。

 

「今日、家来ない?」

「いいよ。」

ユキとヒロトがやるのは、3回目だ。

 

ユキはカズともやっている。

「どっちが好きなの?」

ヒロトはベッドで聞いた。

「うーん。」

「今度3人でする?」

 

3人で初めての行為に及んだ。

 

次の日、学校で顔を合わせたが、少し笑っただけで済んだ。

 

3人で旅行に行ったりした。

トリプルの部屋と言うと、フロントマンが怪訝な顔をしたため、ユキだけ別の部屋だ。

 

でも夜、ユキは部屋に行き、行為に及んだ。

 

2011年も2012年も、ずっと一緒だった。

 

でも、カズは、他の女の子と次第に仲良くなっていく。

 

ヒロトとユキは、ベッドで話した。

「どした?」

「実はね、私、2人よりも、一つ年上なの。」

「え‥?」

「高校、浪人したの。」

「そうだったんだ。大丈夫だよ。」

ヒロトは、ユキをハグした。

 

「そのこと知ってたの?」

大学で、ヒロトはカズに聞いた。

「うん‥。」

「あの子と付き合ってんの?」

「ううん、別にそういうんじゃないよ。」

「ユキから、手をひいてくれないか?」

「そういうわけにはいかないっしょ。」

カズは言った。

 

2012年の11月の終わり。

ユキの妊娠が発覚する。

 

「どっち?」

2人はユキに聞いた。

 

「どっちだろう。」

 

「2人から選んで、はい。」

ユキが選んだのは、カズの方だった。

 

ユキは、婦人科で診断を受ける。

 

「旦那さん‥。」

「あの、分からなくて。」

「じゃ、ご両親と一緒に来てください。」

「え‥赤ちゃん、ダメなんですか?」

「そういうことじゃないんです。」

 

ユキは両親と、婦人科を受診した。

ユキと両親は、別々に部屋に入った。

両親の絶叫が聞こえてきた。

 

「ママ、どうしたの?」

「ちょ、近寄らないでよ!!」

「ユキ、近づくな。」

両親は離れていく。

 

ユキは、子供はカズの子と言ったが、本当は、ヒロトの子だった。

それだけでなく、ユキはエイズだったのだ。

 

動揺した両親は、2人の親に電話をかける。

カズもヒロトも、両親から大目玉をくらった。

 

「ユキ、ホント?」

「うん。」

「誰から?多分、ヒロからだろ。」

「分からない。」

 

 

ヒロトは、1人で屋上に来ていた。

ヒロトは、ユキがエイズだと気づいていたのだ。

ユキは元々、エイズだった。

カズやヒロトと性行為をする前に、付き合った大人の男の人からだ。

 

ヒロトは、ユキとの1度目の性行為が、初めての行為だった。

その後、念のための血液検査で、陽性だったのだ。

 

ヒロトは、ユキを愛していた。

ユキがカズを選んだことは、とても悲しいことだったが、ヒロトはそこで死ぬことを止めた。

 

しばらくして、大きなお腹のユキに会った。

「大丈夫?もうすぐ生まれるね。」

「うん‥。ごめんね、いろいろ。」

「ううん。本当に、俺はユキのことが好きだったから。子供さ、俺の子なんでしょ?」

「うん‥。」

「結婚しない?」

「いいの?私、エイズだよ。」

「いや、俺もだから。」

ヒロトはユキをハグした。

 

ユキとヒロトは、結婚した。

ある日、血相を変えたカズが、包丁を持ってくる。

 

公園で、カズは、ユキを刺した。

ヒロトはカズを倒し、刺殺した。

 

夜には、警察が来た。

ヒロトは逃げたので、指名手配犯として、ニュースで沢山報道された。

 

ヒロトは、ギターを持って海に来た。

そこでヒロトは、ユキのために作ってあった歌を歌った。

Snowy kissである。

ヒロトは、歌手になることが夢だったが、ユキと子供のためにあきらめるつもりだった。なんとヒロトは、デビューまでも決まっていた。

 

ヒロトは、海に落ちて死んだ。

 

1週間後、漁師に発見されたが、

『ユキ、愛してる。』

という紙を、死んだヒロトがずっと握りしめていた事は、本当に不思議な事である。

 

【悲しみの迷路】

【Snowy kiss】

【君を守りぬくから】

By Shino Nishikawa

 

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