マトリアシル【魔法の起源】

April 10, 2018

マトリアシル 【魔法の起源】

この地球ができたのは、神々のおかげである。

 

この地球が出来る前は、地上はなく、ふわふわとした、黄金の世界しかなかった。

黄金の世界とは、つまり、黄泉の国だ。

 

そんな場所で、世界が繁栄していくわけがない。

ありとあらゆる場所に、神が落とされた。

 

それはまた、上の神によってではない。

未来からの引力だ。

 

ハワイのペレ、アステカのウィツィロポチトリ‥他にも沢山神がいるが、神話の中でも、特に有名なのが、ギリシャ神話と倭の国神話である。

 

 

「ああ、もう、たくさんじゃ!!」

アマテラスは怒っていた。

弟のスサノオが、悪事を止めないのだ。

 

「なぜ、止めぬ?」

「分かりません。」

家来のタヂカラオは、困った顔で答えた。

 

「はぁ~、困ったのう。」

アマテラスは、どかりと足を机にのせた。

 

「あの、神様。」

「なんじゃ。」

「男のように、振る舞う決まりが?」

「悪いか。男のように生きろと言われている。上の者からな。」

「はぁ‥黄泉の国の者から、そのように‥。」

 

「嫌なら、やめてやるが?」

アマテラスは、机から足を降ろし、がに股にした。

 

「それと。私のことは、神様と呼ばないでくれないか?」

「では、なんと呼びましょう?」

「大御神様じゃ。」

 

スサノオの悪事は、さらに巨大化した。

神々達のお産は、人間の物とは違い、見つめ合うと子供が産まれたりした。

今でいう、愛の調べである。

 

性的行為は、能力を持たない人間にのみ、許された快楽であった。

 

ある日、スサノオが、アマテラスが暮らす、高天原に訪れてきた。

「こんにちは、姉さん。」

「なんや、突然。どうしたんや。」

「なんですか、そのしゃべり方は。それが、この国の最高神の振舞い方なのですか?」

 

「文句があるのか?」

 

アマテラスは、スサノオの顔すれすれまで、杖のような物を伸ばした。

「神殿を、奪いに来たんだな。」

 

「姉さん。僕は、そのようなつもりはありません。」

「それは誠なのか。」

「本当です。」

「では、証明しろ。」

 

「証明‥というか、僕達2人で、子供を作りませんか?」

「何を言っておる。今もこうして、互いを見ているのに、何も起こってはいない。子供を作るなど、不可能だ。」

 

「いえ、可能です。」

 

スサノオは神力で、アマテラスの手に、自分の剣を持たせた。

「姉さん、勾玉を貸してください。」

 

「ふん、こんな物に価値があるなら、くれてやるわ!!」

アマテラスは、神力で、首飾りから勾玉を一粒とり、スサノオに投げつけた。

 

「姉さん、いいですか?」

スサノオは、何かを唱えた。

 

すると、アマテラスが持つスサノオの剣から、女神が3人、スサノオが持つアマテラスの勾玉から、男神が5人生まれた。

 

「あらあら、小さな女の子だこと。‥まあ~、かわいい。」

 

「ほら、言った通りでしょう?」

 

「お前と、夫婦になる気はない。」

「いいですよ。その代わり、女神3人は、僕の子供としてください。剣は、僕の物ですから。」

「仕方あるまい。」

アマテラスは、神力で、スサノオの手に、3人の女神を持たせた。

アマテラスは、青年のような振舞いをしていたが、改心した。

男勝りな母親になったのだ。

 

「しばらくの間は、神殿で育てましょう。」

スサノオは言った。

子供達は、神殿で糞をまき散らしたりしたが、アマテラスは優しかった。

 

しかしある日、スサノオが、1人の人間の女を殺してしまう。

男神達への教育の最中に、投げた槍が当たってしまったのだ。

 

神は、人間を殺してはいけない。

それが決まりだったが、スサノオは破ってしまった。

 

「ああああああああ!!」

最高神として、アマテラスは泣き狂い、天岩屋に隠れてしまった。

倭の国は、闇に包まれた。

 

タヂカラオとスサノオと、アマテラスの子供達は、オモヒカネに相談し、オモヒカネは、鏡と勾玉をつけた御幣を造らせ、天岩屋の前に置いた。

 

そこに、アメノウスズメが来て、激しいダンスを踊りだした。

どんどん服を脱いでいく。

 

「やめろ、やめんか!!」

それでも、アメノウスズメは止めない。

 

「裸になるな!!」

 

『裸‥?神は、裸を見せてはいけない決まりなのに。』

アマテラスは、戸を細く開けて、外を見た。

 

タヂカラオが言った。

「あなた様よりも、尊い神がおいでになったのです。」

 

「ほら。」

タヂカラオは、アマテラスの顔を鏡で映し、アマテラスは、鏡を持ったまま、外に出た。

 

そのすきに、オモヒカネが、岩にしめ縄をはり、立ち入り禁止にした。

それで、倭の国に光が戻ったのである。

 

 

ギリシャでは、ガイアがギリシャ最初の神として、神々や大地を生み出した。

様々なことがあり、ゼウスが、神々の頂点に立った。ゼウスはガイアの孫である。

その神々しい姿から、普通の人間が見ると、焼け死んでしまうと噂されていたが、素晴らしい遺伝子を地上にバラまくために、愛の調べが頻繁に起こってしまうからだった。

 

ギリシャの神々の遺伝子は素晴らしく、愛の調べが頻繫に起こっていたため、愛憎劇が繰り返されていた。

 

ゼウスは言った。

「ああ、もうダメだ。誰かに、助けを求めないと。」

 

「どうしましたか?ゼウス様。」

家来のガウェインが聞いた。

 

ガウェインは、魔法仕掛けの紙鳥を飛ばした。

ゼウスは、紙鳥をもてあそびながら、言った。

「神々の愛憎劇よ。なんとか、止める方法はないものか。」

 

「東の果てに、神の島があると、聞いております。そこにいる神に、助けを求めてみるというのは、どうでしょうか。」

 

「そうか‥では、聞いてみるとするか。さっそく、雲を用意しよう。」

 

「ゼウス様。まずは、手紙を飛ばさないと‥。」

ガウェインは、魔法仕掛けの紙鳥を飛ばした。

 

 

「大御神様ーッ!!」

息子が大声で来た。

 

「なんじゃ、小うるさい。」

「手紙です。」

「私に手紙だと?」

 

「東の果ての島の神様へ。私の一族のために、あなたの力を借りたい。よければ、ギリシャに来てください。ギリシャのゼウスより、愛をこめて。」

 

「なんじゃ、これ。」

 

「大御神様、ここがギリシャ世界です。」

タヂカラオが、大きな地図を広げて、しるしをした。

 

「ほほう。で、この場所の、ゼウスとやらが、私の力を求めているのだな?」

「はい、そのようです。」

 

「では、さっそく参るとしよう。」

 

アマテラスは、マントを広げ、瞬間移動をしようとした。

 

「待ってください、私達もついて行きます。」

 

「そうか、好きにしろ。」

アマテラスは、長い瞬間移動のため、目を閉じて、集中を始めた。

タヂカラオは、言った。

「あの‥大御神様。瞬間移動ができるのは、この世界でただ1人、大御神様だけなのです。」

アマテラスは、目を開けた。

 

「ふん、では近くに来い。お前達も。」

タヂカラオと、5人の息子達は、瞬間移動をした。

 

降りた場所は、ギリシャではなく、中東だった。

 

「ここは?」

息子の正勝が聞いた。

 

タヂカラオは、神のコンパスのような物で、場所を調べ、地図を見て言った。

「ここは‥中東です。」

 

「大御神様、降りる場所を間違えています。」

アメノが言った。

砂漠の上に光る、神の集団を見た、中東の人間達は、タイマツを持って走ってきた。

その中に、ロワール・タライという男がいた。後に、この男が、黒魔術師の族長となる。

中東にも、神々がいたが、まだ、ふわふわと浮いていて、中東は、人間だけの世界だった。

 

アマテラスは、人間達に気づき、言った。

「早く出発しよう。」

 

 

「うーん、なんの連絡も来ない。」

ゼウスは、神殿の中を歩きまわっていた。

 

「そのうち来るわ、あなた。」

ヘラが言った。

「ふん。」

 

「ヘラ様。アレス様がお呼びです。」

「あら、どうしたのかしら。」

ヘラは出て行った。

 

「言っておくけど、俺には、他にも子供がいるし、ヘラと結婚したつもりは、これっぽっちもないんだからな。」

ゼウスは、少し怒ったように言った。

 

「そんなにカッカしない方がいいですよ。アマテラス様達が、こちらに向かっているようです。」

 

ガウェインは、魔法の水晶玉を見せた。

 

「ふむ‥女神様か。」

「ええ、とても美しい。それから、とても強そうな男が6人。」

 

「結構。晩餐の準備をしろ。」

ゼウスはニッコリ笑って言った。

 

 

「はぁ‥。ここが‥ギリシャ世界。」

「母上、ようやくつきましたな!!」

タヂカラオと、熊野が言った。

 

「そのようだな。出迎えの者がいないが。」

「そのうち来るでしょう。それにしても、立派な宮殿です。」

イクツが言った。

 

「ふん。」

アマテラスは、星を見た。

星は、点々と出ているが、あまり多くはない。

 

「見事な月ですなぁ。」

タヂカラオは、言った。

 

「ああ~、来ていただけましたか。」

ゼウスが、赤ん坊を抱いて、出迎えに来た。

 

「あなたは‥?」

天津が聞いた。

 

「全知全能の神、ゼウスです。」

 

「アマテラス。来ていただいて、ありがとう。」

ゼウスはニッコリ笑い、アマテラスは、ゼウスを見据えた。

 

「ちょうど、私の子供が産まれた所なんです。ヘラクレス、良い名でしょう?」

 

みんな、晩餐の席についた。

「さて、晩餐を始めましょう。」

 

「どうですか?お味は。」

ゼウスは、骨付き肉をほおばりながら、聞いた。

「とてもおいしいです。」

天津が答え、みんなうなずいた。

 

「ふふ、良かった。」

アマテラスが聞いた。

「ところで、ゼウス殿。私の力を借りたいとは、どういうことだ?」

 

オホン、ゼウスは咳をした。

「私の一族では、子生みの調べが頻繁に起こっておりまして‥、一族の中で、大きな憎しみが生まれているのです‥。」

「憎しみ?私は憎しみにより、弟を追放した。」

「それが‥、追放できないほど、みんなで憎しみ合っているのです。」

 

ゼウスは、一部始終を見せた。

 

「そうだったか。」

「はい、困ったものです。」

 

「子生みの調べが起こるのは、仕方がないこと。神の遺伝子を、人間に伝えなければならない。神の子生みは、愛とは、関係ないことだ。」

 

「その通り。それを、皆が分かってくれるといいのですが。」

 

アマテラス達は、しばらくの間、ギリシャにとどまることになった。

そもそも、アマテラスは瞬間移動ができるので、倭の国で何か起これば、戻ることが出来る。

 

アマテラスが部屋で月を眺めていると、隣に、金色の虫が飛んできて、ゼウスになった。

「ゼウス殿も、瞬間移動を?」

「いえ、私は、虫に変身できるだけです。」

 

「綺麗な夜空だが、何か物足りない。」

ゼウスは言った。

 

「そうか?まるで物語のように、星達が並んでいるではないか。私の国の、星はこうではない。」

「よければ、同じ星空を見ますか?時期により、少しずれますが。」

「ああ、頼む。そうしてほしい。」

 

ゼウスは、手をかざし、倭の国の夜空に、十二星座を散りばめた。

 

 

夜、アマテラスは夢を見た。

中東で見た、ロワール・タライが泣いている。

『どうした?』

 

アマテラスは起き上がり、勾玉をつけ、瞬間移動をした。

『母さん!』

息子達が、神力で、アマテラスの下に手をのばし、一緒に瞬間移動をした。

 

ロワールは、泣いていた。

ロワールはただの人間だが、中東の神々はふわふわと宙に浮いたままだ。

街では、首狩りが行われようとしていた。

 

「どうしたというのだ。」

「え?」

ロワールは顔をあげると、アマテラスと5人の男が、覗き込んでいた。

 

「川で‥首狩りが、行われようとしているんです。」

「だから、なんだ。止めたいのか?」

 

ロワールは涙をふき、うなずいた。

「止めたい。」

「では、行くぞ。」

アマテラスは、川まで、瞬間移動をした。

 

川では、乙女達の首狩りが行われようとしていた。

ロワールは、短剣を構えた。

「ダメだ。」

「相手は人間です。ここまで来たら、僕が行きます。」

 

「数が多い。お前達、女子(おなご)を助けてくるのだ。」

「はい。」

5人の息子は、高速で走り、女子達を助けた。

 

ロワールは、安堵で座り込んだ。

 

7人は、安全な場所で座った。

「あの‥あなた達は、神様ですか?」

「そうだよ。」

熊野が答えた。

「そっか。だから、すごいんだ。」

ロワールは、目を落とし、5人の息子達は、心配そうにロワールを見た。

 

ロワールは涙をふいた。

「俺達の神様は、何もしてくれない。」

 

「では、お前が神になるのだ。」

「え?」

 

アマテラスは、手の平に石を乗せ、小さな花に変えた。

 

「イクツ。お前のマントを、この男に。」

アマテラスが言い、イクツは、黒色のマントを男にかけた。

 

「このマントには、神の力が与えられている。着ていれば、神の力が、そなたに授かるだろう。」

 

「あの‥。」

 

「そうだったんですか?僕、全然知らなくて。」

「たわけ。瞬間移動もしようと思えば、できたはずだ。」

 

「では、私達はもう行く。幸運を祈る。」

アマテラス達は消えた。

 

 

「アルテミス!!」

アポロンは、アルテミスに声をかけた。

「こんにちは、アポローン。」

 

「君がアクタイオンを殺したことを、父上はまだ怒っているが、僕は気にしていないよ。」

「アクタイオンは、あなたのお孫さんなのに。」

「子生みの調べで、生まれた子供など、意味はない。」

アポローンは、色っぽく、アルテミスを見つめた。

 

「テオドア。あなたは、ゼウスからの贈り物だわ。」

 

「ああ‥。」

タヂカラオは、庭に出て来て、アルテミスとアポローンに遭遇してしまった。

 

「おはようございます。」

「父上ですか?」

「はぁ‥。」

「書斎にいますよ。」

 

アルテミスとアポローンの様子を、ゼウスは、書斎の窓から覗いていた。

「また、始まっているな。あれほど、愛し合ってはいけないと言ったのに。」

 

「大体、兄妹じゃないか。」

 

コンコン

「おはようございます。」

覗いたのは、アメノだ。

「おお、おはよう。」

 

「母上が、一度、倭の国に戻ると言っております。」

「ほほう。分かった。また、来てくれるな?」

「もちろんです。」

 

 

7人が瞬間移動をしようとした時、アマテラスが何かを感じ、中東に向かって消えたので、男6人も神力で手を伸ばした。

 

ロワールのすぐ後ろに降り立ったアマテラスは、聞いた。

「どうしたのだ?」

「争いが‥もうすぐ始まってしまうんです。」

「では、止めるのだ。マントがあるだろう。」

 

「でも、どう使えばいいのですか?」

「考えろ。考え、やりたい事をやれ。」

 

ロワールは、目を閉じた。

そして、高速で走りだした。

 

神の力で、どんどんと兵士達を気絶させ、槍や剣を消していく。

 

「私達は、もう行こう。」

「あの‥。」

「なんだ。」

「僕、残ります。」

アメノが言った。

「僕も。」

イクツも言った。

「そうか。好きにしろ。」

 

「え、いいんですか?」

タヂカラオは、聞いた。

「ああ、亜奴らの人生だ。」

「でも‥。」

 

「いろいろ言うな。行くぞ。」

アマテラスは、残りの3人の息子と、タヂカラオを連れ、瞬間移動をした。

 

アマテラスは、倭の国で、ヤヤギという男を、天孫として降臨させた。

「繁栄するまでだ。倭の国の王として、振る舞うのだ。」

「はい、大御神様。」

ヤヤギは、頭を下げた。

 

 

「愛してる、アルテミス。」

アポロンとアルテミスが、神殿の影で会っている所を、ゼウスとガウェインは、目撃してしまう。

 

「やれやれ、困ったものだ。」

ゼウスは、言った。

アポロンとアルテミスが、手をつないで去る所を、ガウェインは覗いてから、言った。

「愛し合っているのなら、そのままでいいじゃないですか?」

「それが、いかんのだ。神は愛し合ってはいけない決まりなのだよ。愛し合うことは、人間だけに、与えられた喜びだ。」

「そうなんですか?」

 

「そういえば‥私も、愛は未経験です。昔、農家の娘から、言い寄られたのですが、愛し合ってはいません。」

ガウェインは、花をとり、うっとりと眺めた。

 

「私は、天使ですが。」

ガウェインは、花を、花冠にし、頭にのせた。

 

「はああ。アルテミスは、この間も、カリストを死なせたばかりだ。何か起こらなければいいが。」

 

 

アルテミスとアポロンが散歩をしていると、美しい町娘と目が合い、またもや、子生みの調べが起こってしまう。

「こんな子供、僕の子供じゃない!」

アポロンは、赤ん坊を投げ捨てた。

しかし、アルテミスが、ジャンプして、受け取った。

 

「ダメよ。」

 

「ほら、とても可愛い女の子よ。」

アルテミスは、町娘に子供を渡した。

 

「ふん。」

「何?」

「君との子供が欲しい。」

 

「言ったでしょう、子生みの調べは、私達には、起きない。子供が欲しければ、愛し合わないといけないの。」

「では、今すぐに。」

「まだ、ダメだわ。」

 

落ち着いていたアルテミスであったが、心の濁りは、知らず知らずのうちに、大きくなってしまっていた。

 

アルテミスは、狩猟を司る神だった。

その日、アルテミスは、若い男女達に、猟の仕方を教えていた。

 

「いい?これは、ゲームじゃないの。私達が生きていくために、動物の命をもらうのよ。」

 

若い男女達は、真剣な表情で、水を飲んでいる鹿に矢を射った。

 

「見本を見せるわ。」

アルテミスは、矢を射った。

 

しかし、矢は当たらない。

「あれ?変ね。」

アルテミスは、馬に乗り、鹿を追いかけたが、鹿は、矢を交わしていく。

 

突然、誰かの矢が、鹿に当たった。

アルテミスは、矢が来た方向に、矢を向けた。

 

「こんにちは。」

「オリオン。」

 

「みんなで、狩りをしていたのかい?」

「ええ、みんなはまだ、見習いなの。」

 

「彼は、ポセイドンの息子、オリオンよ。」

「ポセイドンの?」

「では、海に住んでいるのですか?」

 

「うーん。今は違う。前は、諸国を放浪しながら、海で生活していたけどね。俺は、海の上を渡れるんだ。船無しで。」

「船無しで?すごい。」

 

「みんな、休憩にしましょう。」

オリオンとアルテミスは、散歩をした。

 

「そういえば、あなたの目は大丈夫?」

「ああ、もうすっかり。君のお兄さんの力はすごい。」

「アポローンは、弟よ。双子だけど、私が先に生まれて、母上がアポローンを生むのを、手伝ったの。」

「生むのを手伝う?君の母さんは、体から、子供を産んだと?」

「そう。ヘラの呪いよ。元々は、子生みの調べだったけど、母上に嫉妬したヘラが、母上が苦しむよう、呪いをかけたの。」

「そうだったのか。」

 

2人の様子を、森の木の中から、1人の男が見ていた。

アポロンである。

 

ザッ。

「おや、アポローン。こんにちは。」

「2人だけかい?」

「いいえ、若者達に、狩りを教えているの。今は、休憩中よ。」

「そうか。僕も、混ぜてもらおう。」

 

アポロンは、翼を生やして飛び回り、自分の狩りの上手さを見せつけた。

「上手なんだな。」

「まぁ一応、僕は、狩りの女神の弟だから。」

「そうか。」

オリオンは、笑った。

 

 

夜、ゼウスは、ヘラクレスを抱き、廊下を忍び足で歩いていた。

「お前は、半分、人間だ。半分は神だが‥心配なのだよ。お前は、他の子とは違う。何と言っても、この瞳‥。私によく似ておる。」

ゼウスは、ヘラクレスの頬を指で触った。

 

「ヘラのお乳をお飲み。きっと神になる。」

しかし、ヘラクレスが吸うと、あまりの力の強さに、ヘラは目覚めた。

 

「あああああああ!!」

ヘラは泣き叫び、ヘラクレスを、窓から投げ捨てた。

でも、ヘラクレスは、月夜に浮かび上がった。

 

ヘラはテラスで泣き続け、その涙により、ミルキーウェイができた。

 

その頃、中東では、ロワール、アメノ、イクツが、瞬間移動の練習をしていた。

「ロワール。」

アメノとイクツは、瞬間移動をマスターしていて、岩の上に移動した。

 

ロワールも、黒マントに触り、移動した。

 

「じゃあ次は、マント無しでだ。」

「うん。」

しかし、ロワールは、岩の下に落ちてしまった。

「いってぇ‥。」

「まだ練習が必要だな。」

 

 

 

「セイリオス!!」

さらに親しくなった、オリオンとアルテミスは、オリオンの愛犬のセイリオスを連れ、2人で猟を行うようになる。

 

帰ってきて、庭で親しげにする姿を、神殿の窓から見るアポロンに、ゼウスが話しかけた。

「どうした?」

「なんでもありません。」

「オリオンとアルテミスのことか?」

アポロンはうつむいた。

 

「神は、愛し合ってはいけない決まりがある。」

 

「人間になりたいか?人間は愛し合うことが許されている。でも、人間には、家族とは、恋人になってはいけないという決まりがある。」

ゼウスは言い、アポロンは目を見開いて、ゼウスを見た。

 

「オリオンは、我が兄、ポセイドンの息子。つまり、アルテミスの従兄だ。」

ゼウスが言うと、アポロンは力を失くした目で、2人を眺めた。

 

 

「なぁ、アルテミス。海に行かないか?」

神殿に入ってきたアルテミスに、アポローンは聞いた。

 

「今日は疲れているから、いいわ。」

「じゃ、明日は?」

「明日は、トロイアに行かないといけないの。」

「うーん‥。いつならいい?」

「そうね、一週間後かしら。」

 

一週間後、アルテミスとアポロンは、海に来た。2人は船に乗っている。

アポロンはニヤリと笑った。

オリオンが、頭だけを出して、海を渡っていたのだ。

 

「あー‥、アルテミス。弓矢の勝負をしないか?」

「弓矢の勝負?いいわよ。」

 

「あそこに小島があるだろ?先に、矢を命中させた方が勝ちだ。」

「いいわよ。」

「じゃ、君から。」

 

「ふん‥。」

アルテミスは、狙いを定めた。

 

矢を放つと、その小島は一瞬揺れ、海から消えた。

「やったわ!」

アルテミスが見に行くと、そこには、オリオンが死んでいた。

 

「だましたのね?」

「違うよ!小島が、オリオンだなんて、知らなかった。」

海は、ポセイドンの場所だ。

海には、道が開いた。

 

アルテミスは、オリオンを担いで、神殿を目指した。

アポロンは、その姿を、呆然と眺めた。

 

「何たることだ!!」

 

「オリオンを、誰が殺したのだ!!」

ゼウスは、怒り狂った。

 

「私が放った矢です。」

アルテミスは、泣きながら答えた。

「では、アルテミスが殺したのだな!!これで何人目だ!!」

ゼウスは言い、アルテミスは泣いた。

 

「ガウェイン。アマテラスに手紙を。」

「かしこまりました。」

ガウェインは、紙鳥を優雅に飛ばした。

 

「ふん。」

「ああっ。」

ゼウスは、紙鳥をつかみ、早く届くよう、放り投げた。

 

 

「大御神様ーッ!!」

「なんじゃ、小うるさい。」

 

「ゼウス様より、手紙が届きました。」

 

『一族のために、あなたの力を借りたい。早急に、ギリシャにお越しください。』

 

「ふん、参るぞ。」

「私も一緒に行きます。」

「僕達も。」

タヂカラオと、熊野、天津、正勝も一緒に、瞬間移動をした。

 

 

 

 

ゼウスは、神殿の中を歩き回っていた。

「ゼウス。」

ハデスが現れた。

「ハデス。」

「全知全能のお前が、俺を必要とするとはな。」

 

「頼みがあるんだ。こちらに来てくれ。」

ゼウスは、神殿の寝台に被せた布をとった。

 

「ポセイドンの息子、オリオンだ。私の娘が、誤って、矢で撃ってしまったのだ。」

「不憫だ。ポセイドンは、オリオンのことを、一番かわいがっていたというのに。」

 

「ハデス。オリオンを生き返らせてくれないか?」

「断る。冥界の秩序が乱れたら、困る。」

「頼む、この通りだ。」

ゼウスは、膝まづいた。

「生き返らせてくれたら、褒美を積もう。」

 

「では、褒美として、ポセイドンの矛が欲しい。」

「何を言っている!!ポセイドンの矛など、お前に渡せるはずがない!!」

 

「ふん。死者を生き返らせるのは、それほどのことだ。これで、分かっただろう。」

ハデスが言い、ゼウスはうなだれた。

 

「アマテラス様達が、御着きになりました。」

ガウェインが来て、言った。

「ああ。通してくれ。」

 

「どうした?私を呼ぶとは。」

「アマテラス。ついに、娘が、私の甥を殺してしまったんだ。」

 

「ふん。」

アマテラスは、布をめくり、オリオンを確認した。

ハデスは、その様子をしげしげと眺めた。

 

ハデスが言った。

「アマテラス。東の果てにある島の神様。」

「なんだ、貴様は。」

「俺は、冥界の王。ハーデースだ。」

「そうか。私は太陽神だ。貴様のような者と関わると、邪気が移ってしまう。」

 

「ハデス、今日はもういい。」

ゼウスが言った。

「アマテラス。またいずれ会おう。」

ハデスは消えた。

 

「アマテラス。オリオンを、なんとか生き返らせてくれないか?」

「すまない。死者を生き返らせることはできないのだ。」

 

「そうか‥あなたでもダメか‥。あああ!」

ゼウスは泣きだし、ふわりと消え、金色の虫になり、どこかに飛んで行ってしまった。

 

「すみません。今日は、ごゆっくりしていってください。」

ガウェインが、5人に言った。

「聞いていいか?」

アマテラスが言った。

「はい、なんなりと。」

「ハデスという男は、瞬間移動ができるのか?」

「ハデス様は冥界の王です。冥界はこの世界の下にある‥。ハデス様はいつも、下から現れ、下に消えます。」

「そうか。」

 

ゼウスは、ポセイドンの像の前で、泣き崩れていた。

「なんてことだ‥娘が、兄さんの息子を殺してしまうなんて。」

ガルルル

ゼウスの後ろに、黒い大熊が来た。

大熊は、ヘラに変身して言った。

「大丈夫よ。神同士の殺し合いは、よくあること。」

 

「謝りに行かなくては。」

 

 

ゼウスとヘラは、ポセイドンの下に来た。

「兄上、申し訳ございません‥。私達を、殺してください。」

2人は土下座をした。

 

「ゼウス。ヘラ。顔を上げよ。」

 

「アルテミスは、殺すつもりで、オリオンを撃ったわけではない。アルテミスは、オリオンを愛していたのだ。」

 

「こちらからも頭を下げよう。私の姪である、アルテミスを許してやってほしい。」

ポセイドンは立ち上がり、頭を下げた。

 

 

「アルテミス!」

「止めて。話したくない。」

 

アポロンは、アルテミスの前に回りこんで、肩をつかみ、言った。

「ごめん。僕が間違っていた。だけど、アルテミスがあいつの物になってしまうと思うと、耐えられなくて。」

アポロンは、アルテミスを抱きしめた。

「愛してる、アルテミス。」

 

そこに、アマテラスが現れた。

「人間になりたいのか?」

「誰?」

「私は天照大御神。倭の国の神だ。」

「愛し合いたいのなら、人間にさせてあげられるぞ。」

「え‥?」

「ただ、能力はなくなるがな。」

 

アルテミスは涙をぬぐった。

「能力がなくなるなんて、嫌よ。」

 

『人間には、家族とは恋人になれないという決まりがある。』

アポロンは、ゼウスの言葉を思い出した。

 

「どうする?」

アポロンは、アルテミスの手を握って、聞いた。

 

「人間になるなんて、嫌よ。」

「アルテミス‥。」

アポロンは、アルテミスの肩から背中辺りをなでた。

 

「俺達は、人間にはなりません。」

「そうか。では誓いを立てろ。純潔の誓いをな。」

 

 

アルテミスとアポロンは、ゼウスとヘラの前で、誓いを立てた。

そしてゼウスは、夜空に、オリオン座を作った。

 

 

中東では、また、争いが起きていた。

争いを止めようとした時、ロワールの黒マントが、破れてしまう。

敵の剣が振り下ろされそうになった時、ロワールはひるんだ。

「ロワール!!」

アメノが叫んだ。

すると、空でふわふわと浮いているだけだった、中東の神々が、猛スピードで降りてきて、ロワールを助けたのだ。

 

「神様‥!」

ロワールは、瞬間移動をし、争いから離れた場所で、倭の国を思い出し、感傷に浸っていたイクツの下に、たどり着いた。

「出来た‥。マントなしで。」

「おめでとう。ついに君も、神になったのだな。」

 

「わああああ!!」

ロワールは、太陽に向かって叫び、また瞬間移動をし、敵を次々と、気絶させた。

 

 

「ありがとう、アマテラス。この御恩は、永遠に忘れない。」

「また会おうぞ。ゼウス。」

アマテラスと、4人の男は、瞬間移動をした。

 

 

ロワールの遺伝子は、ふわりと飛び、次々と能力者が生まれていった。

ロワールは、黒魔術師の族長となったのだ。

 

ヘラは、戦いの時には、黒の大熊に変身し、美しいニンフ(妖精)達を連れ、戦地に向かった。

パンダ族の族長は、ヘラである。

 

カラス族は、殷に住む、武将の神が族長だ。

 

アメリカや、南アメリカにも、神はいるが、今だ、謎に包まれている。

 

1900年前半に起こった世界戦争では、憎しみの心があまりにも強く、魔法族達は、魔法力を失ってしまった。

 

しかし、戦争が終わると、優れた魔法族達は力を取り戻し、魔法族の魔力を取り戻すために、魔法学校を作った。

その頃は、みんな魔法力を失っていたので、魔法使いが主だった。

 

 

そして、西暦2090年。

マトリアシルが、かつての殷の場所に、建国された。

マトリアシルは、魔法族が暮らす国である。

 

西暦8000年。

マトリアシルとウイストンの、にらみ合いは絶えないが、魔法と人間の世界の秩序は、取り戻されている。

 

これまでの間に、何があったのか‥。

それは、いまだ、謎である。

 

【Matriacil】

【Try this again】

【My ORION】

【極東の女神】

by Shino Nishikawa

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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