多久さんの事件簿【岸道さん、風俗店に行く編】21

November 11, 2018

多久さんの事件簿【岸道さん、風俗店に行く編】21

「ノリに会うの、久しぶりだね。」

多久がマロに言った。

「3ヶ月ぶりだな。あいつが、ボーリング選手を辞めてから、会う事がないから。」

 

「リンチル君とは、最近、気が合わないんだ。彼は、ちょっと変わっている。」

「そのうちに、直るさ。」

 

2人がちょうど風俗店の前を通りかかった時、ノリがのれんから、中を覗いていた。

「ノリ、何やってるの?」

「ああ。見ての通りだよ。中を覗いていたんだ。」

「一体どうしてそんなことを?」

「知り合いの子だよ。この子。」

ノリが、写真の1人を指した。

 

「え‥。」

「ノリさん、良ければ‥。」

多久が言った。

「やめろって。」

「いいよ。」

 

「俺さ、2人に話したい事があるんだ。」

ノリが言った。

 

 

3人はファミレスに来た。

「何?話したい事って。」

 

「うん‥その前にいい?あの人、誘ってた?」

 

少し離れた席に岸道さんが1人で座っている。

 

「岸道さん!」

多久が大声で呼んだ。

「やめろって。」

 

「あれ?おお。」

「こっちに来てくださいよぉ。」

多久が呼んだ。

 

「やっぱり、誘ってたの?」

ノリが聞いた。

「偶然ですよ、どうぞ。」

 

「ごめんな、俺まで混ぜてもらっちゃって。」

「いいですよ。」

 

「ノリさん、久しぶりやな。先日の霧ヶ峰は行かれへんかったから。」

「はい、行かなくて、正解でした。」

「そうやな、下手したら、死んでたからな、俺達は。」

「まぁまぁ、もう、過去の事ですから。」

 

「それで、ノリの話っていうのは何なんですか?」

「話?俺も聞いていい話なんですか?」

 

「あ‥、はい。

実は僕、今度、結婚式をします。」

 

「えっ?!」

「って、自分でじゃなくて、神主として、結婚式を取り仕切る事になったんです。」

「ああ~、そっか。」

「へぇ‥。」

「それだけ?」

「いや、ちょっと別に普通だった。それ、俺達に関係ある?」

「転職の相談はする決まりだったから。」

「ああ。」

「まぁ、仲間としてな。」

「でも、別に転職じゃないし‥。」

 

「すみません、ハンバーグ一つ。」

多久はウェイトレスを呼び止め、注文をした。

「自分だけ注文するの、やめろって。」

 

「すみません。でも、悪いじゃないですか。こんなに長々と会話をしているのに。」

「まぁ、そうだな。」

マロはメニューを開いた。

 

岸道さんがメニューとろうとした時だった。

多久が目を光らせ、岸道さんの手に触れると、岸道さんは消えた。

「え?」

「せっかくだから、風俗店に行ってきてもらいましょうよ。」

 

「ああ、突然なんなんや。」

『岸道さん、風俗店に行って来てください。』 

「なんで、俺が?いやや、そんな事。」

『これは使命ですよ。代わりに姿を変えてあげます。

この中から、選んでください。』

「え‥、あ、じゃあこいつにしよ。」

岸道さんは、身長170センチくらいのマッチョになった。

 

『使命を果たすまでは、帰れませんからね。』

「分かったって。」

岸道さんは内心喜んだ。

 

「はぁ。」

胸ポケットのスマホを開く。

どうやら、名前は、橋本太郎丸というらしい。

 

「よし。」

太郎丸は、風俗店に入った。

カラン。

店の中は、倖田來未の曲が流れている。

受付の小柄の男は下を向いている。

好きな子に指名が入ったらどうしようといったところだろう。

 

「あの‥。」

「はい。」

「いいですか?」

「ああ、ご指名ですか?」

「いえ。」

「ご希望タイプは?」

「え‥。」

「可愛いとか、胸が大きいとか。」

「ああ‥。」

太郎丸は頭をかいた。

「じゃ、可愛いで。」

 

男が息を吐いて、答えた。「はい。」

そして、無線で連絡をした。

「ご新規1名です。」

 

すぐに黒髪のボブの子が来た。

バニーガールの格好をしている。

「ご指名ありがとうございます。」

『指名、してない‥。』

「今日は、可愛くしてあげる。」

「ああ‥。」

 

どうやら、オリの中で、バニーガールと遊ぶようだ。

「シャワーあびてね。」

「うん。」

太郎丸は白いタオルで髪の毛を拭きながら、外を睨んだ。

昔の事を思い出したのだ。

太郎丸は野球部だった。

 

服を着た太郎丸が他の客のシャワーを覗くと、中年紳士や、でっぷりとした男がいた。

「太郎丸さん、いい?」

「うん。」

 

太郎丸は、箱椅子に座り、バニーちゃんは太郎丸の希望を聞いたりした。

太郎丸は赤くなり、「うん。」「別に。」とか、短い回答をした。

 

「わかった。」

バニーちゃんは太郎丸のTシャツを脱がし、後ろから抱きついた。

「え‥?」

「太郎丸さん、いい匂い。」

「うん。」

太郎丸は、バニーちゃんを抱きしめた。

「ちょっと待ってね。」

バニーちゃんは、太郎丸をベッドに寝かし、自分も服を脱いだ。

「え‥。」

 

その後の行為は不適切だった。

サービスをするというよりは、相思相愛の行為になってしまった。

 

「五郎丸さん、今日ありがとね。」

バニーちゃんはすっきりした感じで、太郎丸に抱きついた。

「え‥。俺、太郎丸だよ。」

「あ、ごめん。」

 

太郎丸はもう一度シャワーを浴びた。

中年紳士はぐったりとし、下を向いている。「人生終わりだ。」

『仕方ねぇな。』

 

太郎丸は出口で4万を払い、店を出た。

 

「太郎丸さん、良い人だった。」

バニーちゃんは泣いた。

サービスだけを求めるものだ、普通は‥。

バニーちゃんは、想像がうまいと思う。

東京には、スターが住んでいるから‥。

 

お爺さんも、おじさんも、ガキも‥。

歯なんて磨かないし、パンツだって、変えない。

下手をすれば、おむつだっているし、陛下だっている。

 

 

「どうでした?」

 

「俺はもう、こんな事はしたくない。」

岸道さんは泣きながら、下を向いた。

 

「これ、お金。」

多久が1万を出した。

「いや、いいよ、それは。」

岸道さんは目をそらした。

 

「お金なんてな、友達に渡すもんじゃねぇぞ。」

マロが言った。

 

岸道さんは泣き続けた。

 

 

 

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