Dream

March 6, 2019

Dream

「フェリックス、準備はいいか?」

「ああ、もちろんだ。」

フィリピン人のフェリックス・レイエスは、サッカーボールを蹴り上げた。

 

フィリピンの高校で、窓際の席で眼鏡をかけ、読書をするフェリックス青年。

「あんたさー、俺たちより年上なんだろ?フェリックス先輩!」

男のくせにチビのレイチェルは、友人たちと戯れながら、フェリックスを冷やかした。

「それが、どうした?」

眼鏡をかけ直しながら、フェリックスは聞いた。

 

「別にー。でも、へーんなの!」

「あははは!ダメだぞ、そんなこと言っちゃ。」

ジャスティンが、レイチェルをこつんとした。

 

「フェリックスさんって、子供の時にインドから来たんですよね。大変でしたね。」

アンジェロが言った。

 

「うん、そうだよ。なんで知っているの?」

「お母さんから聞きましたよ。」

「そうだったのか。」

 

「もう行こうぜ。」

「では、僕たちはこれで。」

 

「あいつ、インドから来たんだなー。」

レイチェルが言った。

「そうだよ。だから子供の頃から、学年が一つ遅れてしまったんだ。」

「ふん。」

レイチェルはフェリックスを睨んだ。

 

 

次の日、体育委員会の者が、クラスマッチの説明をした。

競技は、バスケ、バレー、サッカー、野球、ドッジボールがあるらしい。

 

レイチェルはつまらなそうに、机をガタガタと鳴らしたので、眼鏡のフェリックスはレイチェルをちらりと見た。

 

「どうしたんですか?レイチェル・アンダーソン。」

「すみません。クラスマッチの競技に興味がないので。」

「でも、クラスマッチには全員が強制参加です。必ず、どれか選んで参加してください。」

「えー、やだ。」

 

授業が終わり、レイチェルの下にジャスティンとアンジェロが来た。

「レイチェル、クラスマッチに興味がないってマジか?俺、超楽しみだぜ。」

「興味がないのはマジ。クラスマッチの競技にはね。」

「じゃあ、何ならやりたいだよ?」

「体操。」

 

「体操?」

「オリンピック競技のだよ。」

「それはもちろん分かるさ。お前、体操が出来るのか?」

「わかんない。でもさ、レスリングのマットで一度回転できたんだよ。」

「ああ‥。」

 

ガタン

フェリックスは立ち上がった。

「フェリックスさんは、何に出るんですか?」

アンジェロが聞いた。

 

「まだ決まってない。」

「そっか。」

 

「こいつ、体操やってたんです。」

ジャスティンがレイチェルを指した。

「やってねぇよ。」

レイチェルが言った。

 

「いいね、頑張って。」

フェリックスはにっこりと笑った。

 

 

インドネシア。

美しい海の上を船が走っている。

男は険しい表情で海を見た。

 

ポイントにつき、ロープを持った男は荒く息をして、水中に潜って行った。

 

 

インドネシア

バドミントンの練習が熱心に行われている。

エースのアグスがラケットを肩に乗せ、こちらに来た。

「今日、ヨゴ来てない?」

「来てないです。」

眼鏡のマネージャー、イイスが言った。

 

「なんだよ、今日もか。アイツとペアを組みたいのに。」

アグスは悔しそうにした。

 

 

自分の部屋で、ヘッドホンをして、リズムに乗る青年ヨゴ。

パソコンではYouTube、テレビからは映画、ステレオからも音楽が流れている。

 

バン

母親がドアを開けた。

「うるさいわよ!消しなさい!」

 

「ああ‥。」

19才のヨゴはヘッドホンをとり、テレビを消した。

「それも。」

「はい。」

母親が睨み、ヨゴはパソコンとステレオも消した。

 

「クリスチャンが来ているわ。」

「よぉ。」

24才の従兄、クリスチャンが顔を出した。

「クリスチャン。どうしたの?」

「可愛い従弟に会いに来たんだよ。」

 

母親はキッチンに戻り、クリスチャンはヨゴの部屋に入った。

「音楽やっているんだ?」

「ちがうよ。興味があるだけ。」

「へぇ。やってみたらいい。お前はまだ若い。」

「うん‥。」

「どんなジャンルが好きだ?」

「ジャズ。」

「ジャズ?全然タイプが違う。ロックか、パンクだな。」

 

「うるさいのは苦手なんだ。ジャズを聴くのが一番落ち着くんだ。」

「どこらへんがいい?」

「メロディーがあまりない。聴いていて楽になる。」

「そうか。メロディーがないなら、音楽ではないかもな。」

クリスチャンは立ち上がり、窓から外を見た。

 

「だからこそ、ジャズにはテクニックが必要なんだよ。」

「じゃあ、演奏を学ぶんだな。この部屋には楽器がひとつもない。」

「今はまだ迷っていて‥。兄さんこそ、サーフィンはやっているの?」

「サーフィンはもうやめた。今は、アウトリガーの方に興味があるんだ。」

「アウトリガーカヌー?」

「そう。金があれば、ハワイキヌイを見に行きたいよ。」

クリスチャンは残念そうに言った。

 

 

 

 

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