倭建命伝説【出雲健編】③

March 10, 2019

倭建命伝説【出雲健編】③

人を食らう赤鬼。

見た目は猿と天狗を掛け合わせたような感じだ。

 

「はっ。」

タケルは目覚め、仲間に言った。

「出雲国に寄って行こう。」

 

クマソ征伐を終えたタケル一行は、出雲国に入った。

「うわぁ!!」

突然、黒雲が空を覆い、嵐が一行を襲った。

 

「ひぃぃ。」

「ああああ。」

カマキリとカメレオンは、タケルの衣の下に隠れた。

 

「ルルズ、大丈夫か?」

ルルズは目をつぶって飛んでいたが、タケルが聞くと、目をしっかりとさせて、力強く飛んだ。

 

「雲の切れ間だ!!」

タケルは晴れている場所を指した。

 

ルルズはきりりとした表情で、まっすぐに飛んだ。

 

飛んでいる大きな白鷹に、青年が立っている。

「人がいる、出雲国の者かな?」

「さぁ‥。」

 

「俺の名はヤマトタケル。あなたは出雲国の人間か?」

タケルが聞くと、青年はこちらをちらりと見て、白鷹からまっすぐに、谷に落ちた。

 

「ルルズ、男が落ちたぞ!!」

ルルズは谷に向かって急降下したが、

「わああああ!!」

そこには、ツタや木の根があり、ルルズは引っかかって、タケル達は落ちてしまった。

 

タケル達は気絶してしまった。

 

「まんまと罠にかかったな。」

先ほどの男だ。

先ほどの男は、タケル達を縄でしばった。

 

「はっ。」

タケルが目を覚ますと、ルルズまでしばられそうになっていた。

「ルルズには止めろ!!」

 

「なんだ、起きたのか?関係ない、しばっておく。」

男は言った。

カマキリは鎌で切れた自分の縄を見た。

 

クワァ‥

「ルルズ!!」

ルルズは嘴をしばられている。

 

「静かにしろ。」

男はルルズをコツンと叩いた。

 

タケルは怒りに満ちた表情で言った。

「貴様、名前を申せ。」

「俺の名は、出雲健。君の名前は?」

「俺は、ヤマトタケル、天皇家の人間だ。なぜこんなことをする!」

 

「信用できないからだ。この辺りでは、獅子オドロという化け物に、女子供がさらわれている。お前たちが獅子オドロの仲間でないと証明できるまで、縄をほどくことはできない。」

 

「俺たちは関係ない!!」

タケルは叫んだ。

「そうか。では証明してくれ。」

 

カマキリは静かにルルズに近づいていた。

「はっ。」

出雲健は、振り返った。

カマキリはそっとルルズの嘴の縄を切っていたが、

「キィー。」

出雲健につかまれ、嘴を少し切ってしまった。

 

「ルルズ!!」

 

「このカマキリめが!!」

出雲健は紫色の呪術で、カマキリを突き飛ばした。

カマキリは気絶してしまっている。

 

「おい、出雲健!!一体、カマキリに何をした!!」

 

「呪術を使っただけだ。」

出雲健はまたルルズを縛り始めた。

ルルズは抵抗したが、出雲健はルルズをまた叩いた。

 

カメレオンが縛られたまま来て、タケルの縄をかみちぎった。

「ありがとう。」

 

「太刀が‥。」

太刀と鞄は呪術で、宙に浮かんでいる。

 

タケルはカメレオンの縄をほどいた。

 

タケルは目を本気にし、真剣にルルズを縛っている出雲健に突進した。

「クソ!縄をほどかれたか。」

 

出雲健は容赦なく紫の靄を出し、呪術を使ったが、タケルには効かなかった。

「呪術が効かないだと?!」

 

「うおおお!!」

タケルは出雲健に突進し、出雲健は短剣を出した。

 

「うわぁっ!!」

タケルは出雲建が構えた剣の上に乗り、出雲健を倒し、出雲健の顔のすぐ横に拳を決めた。

 

「ルルズ、カマキリ、大丈夫か?」

タケルはルルズの下にかけより、その後、カマキリを手の平に乗せた。

 

「ヤマトタケル、君は本当に、獅子オドロの仲間ではなさそうだ。」

「ああ?」

 

「当然だろう。獅子オドロの仲間ではない。俺は天皇家の人間だ。」

「そうか、君は強かったよ。君たちに酷い事をしたのに悪いが、獅子オドロ退治を手伝ってくれないか?」

「断る。そんな義理はない。」

 

「でも、天皇家の人間だろう?民が困っているのに、何もしないのか?」

出雲健が言い、タケルはうつむいた。

 

「ほら、これを返すよ。今晩、俺の家に泊まればいい。」

出雲健は、タケルに太刀と鞄を返した。

 

 

出雲健の家には、男が何人かいた。

一番上のクロアヤが言った。

「そちらの者、名をなんと申す。」

 

「俺は、ヤマトタケルです。」

「カマキリです。」

「カメレオンです。」

 

「ふん、面白い連中やのぉ。でも、ヤマトタケルの名は聞いたことがない。」

「最近、クマソの弟のタケルから、名前をもらったんです。」

「はは。では、君がクマソを征伐した男だな。」

「はい。正確に言えば、こいつが‥。」

 

「私がクマソタケルを切り刻みました。」

カマキリが言った。

 

「実に素晴らしい。獅子オドロ退治に、心強い。」

 

出雲健は、言った。

「獅子オドロは変身術が得意で、村人になりすましては女子供をさらっていく。

明日、村で火焚きが行われるから、きっと変身した獅子オドロが現れるだろう。」

 

「獅子オドロを見つけて、殺すんですね?」

「そうだ。獅子オドロは呪術が使えるけど、俺の呪術が君には効かなかったから、きっと大丈夫だよ。」

 

男の一人が、にやりと笑い、タケルに呪術を使おうとしたが、跳ね返った。

「うわぁ!!」

「本当に呪術が効かないんですね。」

 

「タケル様‥。」

カマキリとカメレオンがタケルを見上げた。

「俺は呪術が使えなかったけど、その分、効かなかったんだな。」

 

 

次の日。

出雲家の男達は、村人にまぎれて、獅子オドロを探した。

 

タケルも辺りを見回す。

「お前かっ?」

タケルは美しい乙女の腕をつかんだ。

乙女は可愛い目でタケルを見つめた。

「すまない、間違えたようだ。」

タケルが言うと、乙女はニヤリと笑った。

 

その瞬間、クロアヤが呪術で黒い影となり、動き出した。

他の男達も走り出した。

「ん?」

タケルが振り向いた時、出雲家の男達が乙女をとらえていた。

 

乙女は醜い姿になり、獅子オドロに変身をした。

「きゃあああ!!」

村人達は逃げ惑う。

 

 

「獅子オドロめ、今日こそ許さない!!」

出雲健が、両手から呪術の紫の靄を出した。

 

しかし、獅子オドロは強く、呪術を跳ね返した。

 

「くっ‥。」

クロアヤは獅子オドロの呪術をこらえ、呪術で自分の手に太刀を出した。

 

「うおおお!!妻の仇、取ってくれるわ!!」

クロアヤは獅子オドロに突進した。

 

獅子オドロは不気味な笑みをうかべ、空高く飛び上った。

 

「ああっ‥。」

獅子オドロはタケルの前に着地し、タケルは一瞬立ち尽くした。

 

獅子オドロは振り向き、クロアヤに言った。

「お前の妻は、美味かったぞ。」

 

「くそぉ!!」

 

「絶対に殺す。」

クロアヤは、紫の靄を出し、目の色を変えた。

 

「お前たちなど、敵ではないわ!!」

獅子オドロはもう一度高く飛がり、タケル目がけて落ちてきた。

 

「ふっ。」

タケルは太刀で獅子オドロを避け、戦い始めた。

獅子オドロはタケルに向かって呪術を出すが、タケルには呪術が効かない。

 

「くそぉ、なぜ効かぬ。」

「俺には呪術が効かないんだ。」

獅子オドロは恐ろしい爪を生やし、戦い始めた。

タケルが戦っている間、出雲家の男達は、獅子オドロとタケルを囲んでいた。

 

クロアヤは呪文を唱え、一斉に呪術を出し始めた。

「獅子オドロ、死ね!!」

「あああ!」

獅子オドロは倒れた。

 

「死んだか!?」

出雲健は言い、クロアヤは何も言わず、足で倒れた獅子オドロを仰向けにした。

「うう‥。」

 

「ようやく死んでくれるな。」

「うるさい‥。」

 

「タケル様ー!!」

ルルズから、カマキリとカメレオンが飛び降りてきた。

 

「私の出番ですね。」

「頼む。」

クロアヤは言い、タケルは唾を飲んだ。

 

カマキリは鎌をかまえ、獅子オドロは切なそうな目で、カマキリをじろりと見た。

そして、タケルに言った。

「そなた、何者だ?呪術が効かない人間など、この世で初めて会った。」

「俺はヤマトタケル。天皇家の人間だ。」

「そうか。王族には意味があるのだなぁ。」

獅子オドロはニヤリと笑い、言った。

 

タケルは言った。

「民を守る使命がある。」

「ふん、民を守る使命などつまらない。」

獅子オドロはつぶやき、クロアヤは聞いた。

 

「貴様、俺の妻に何をした?」

「いろいろしたよぉ‥。むこうも、楽しんどった。」

獅子オドロは言い、その時のことを思い出し、ニヤリと笑った。

 

カマキリはついに獅子オドロを切り刻んだ。

 

「ようやく、獅子オドロが死んでくれて、よかったよ。」

夕方、出雲健は言った。

「タケルのおかげだ。ありがとう。」

 

「いや、いいよ。なにもしてないから。」

タケルは言い、空を見た。

空では、ルルズと出雲健の白鷹ハクアが、仲良く飛んでいる。

 

出雲健は目の上に手をかざし、まぶしそうに鷹達を見た。

タケルは聞いた。

「あなたには、思い人はいる?」

「ああ、いるよ。」

「名前を教えてくれないか?」

「それはまだ言えない。タケルは、知らない方がいいと思う。」

「そっか。」

タケルは下を向き、また鷹達を見た。

 

夜、布団でタケルは少し呆然として、眠りについた。

 

コンコン

一人の娘が屋敷をのぞいた。

「ミヤズ?」

飯を食べていたタケルは言った。

出雲健は立ち上がった。

「ミヤズ、来てくれたのか!」

「ええ、早く会いたかったから。」

2人は仲睦まじそうに、外に出て行く。

出雲健の思い人はミヤズだったのだ。

 

タケルは暗くなって、箸を口に運んだ。

 

ガッガッ

「何をやっているんですか、タケル様。」

カメレオンが聞いた。

「太刀を作っている。」

「太刀?イチイガシの木で作った太刀など、意味がないのに。」

カマキリは言った。

 

「意味はあるさ。俺にとってはな。」

 

「ほら、できた。」

タケルは太刀を青空にかざした。

 

水浴びをする出雲健とタケル。

タケルは聞いた。

「この後もミヤズと会うのか?」

「ああ、そのつもりだ。水浴びをすれば、ちょうど綺麗になるからいい。」

出雲健は美しい腕をなでながら言った。

 

「太刀を一度交換して、太刀合わせをしてもらいたいんだ。」

「いいけど、明日でもいい?」

「もしかしたら、俺たち‥、今晩発つかもしれない。」

 

「‥そうか。じゃあ、仕方ないな。」

出雲健はにっこりと笑った。

「ありがとう、俺、先に着替えてくる。」

 

「準備はいいか?」

「うん。」

何も知らない出雲健は、まだ太刀を抜いていない。

 

タケルが走ってきて、出雲健は太刀を抜こうとしたが、抜くことができなかった。

「ああ!」

 

「ミヤズのこと、許さない。」

「ミヤズのことってなんだよ!」

出雲健は大きくジャンプし、太刀をよけた。

「ミヤズは俺を選んだんだぞ!」

出雲健は呪術で偽の太刀をぬいた。

 

「出雲様!」

ミヤズが見に来た。

カマキリとカメレオンも、見物している。

 

出雲は言った。

「ミヤズ、逃げろ!」

カッ

偽の太刀は飛び、ミヤズの目の前の地面にささった。

「ああ。」

ミヤズは手で口を覆った。

 

出雲健は、手でタケルを止めている。

「逃げるんだ!」

ミヤズは泣きながら、走り出し、出雲健はタケルに切り殺された。

 

 

「おい、もう朝だよ。」

タケルが目を覚ますと、出雲健は布団をたたんでいた。

 

「あ、ごめん。」

上半身裸のタケルは立ち上がった。

 

 

空では、シラギが霊力で出雲の地を見ていた。

 

「タケル、さよならだ。」

「ああ、寂しいよ。」

 

クロアヤは言った。

「タケル、君は倭の国の王にふさわしい男だ。」

「ありがとうございます。」

「これからも頑張ってくれ。」

「はい。」

クロアヤとタケルは握手をした。

 

ルルズとハクアは別れを惜しんでいる。

 

タケルは出雲健に聞いた。

「出雲健、君の思い人の名前を、どうか俺に教えてくれないか。」

 

「俺の思い人の名は、イズモだ。」

「イズモ?この地と同じ名前だ。」

「ああ、そうだよ。」

 

 

「ありがとう、さようなら!」

ルルズに乗ったタケルは手を振り、カマキリとカメレオンもルルズに飛び乗った。

 

出雲の人間たちは、タケルに笑顔で手を振っていた。

 

空で、タケルはシラギからもらった鏡を見た。

「タケル、連絡をくれないから、心配したよ。」

「遅れてごめんなさい。クマソタケルの征伐を無事に終え、今は出雲国の獅子オドロ退治を手伝ってきたところです。」

「そうか。帰り道にも、化け物が潜んでいる。見つけ次第、殺して帰ってこい。」

「はい。」

 

タケルは帰り道の化け物を次々と殺して、帰った。

 

 

 

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