戦友【エードの死】11

March 21, 2019

戦友【エードの死】11

開戦の直前、軍からは、富四郎とエードが逃げ出していた。

富四郎は、北海道に逃げた。

雪の森で、山賊と撃ち合いになったりしたが、生きていた。

 

軍から逃げ出したエードは、看護師の免許しか持っていなかったが、医師と嘘をついて、医者として働いたり、化学の教師をしたりしていた。

 

広島の原爆の日は、恋人のジナに会う日だった。

 

「ジナ、戦争が終わったら、名前、変えなよ。」

「この名前、気に入ってる。」

「変じゃん、爺ちゃんみたいでさ。」

太陽は、キラリと暑い。

 

遠くで、ブーという、車が走る音が聞こえた。

その奥の方に、雲の中を走る不気味な音が、エードには聞こえた。

 

「もし、空襲がきたら、どこにいけば、助かるだろうね?」

「え‥、昼間に、空襲はこないでしょ。」

 

エードは、太陽を見た。

エードの勘はよく当たる。

 

もう今からなら、広島から出られない。

 

「川に行く?」

「うん。」

 

2人は川に入り、橋の下でこそこそと話した。

 

飛行機の音は近くなった。

「もう仕方ないかな。」

 

「こっちだ。」

エードは、鉄の橋から、木の橋の下に移動した。

その様子を、自転車のオバちゃんが見ていた。

 

ドカン

ものすごい音と熱風が来た。

 

2人は、息を飲んだ。

川は一瞬で、お湯のようになった。

ジナは、へたりこんだ。

でも、エードもジナも生きていた。

 

自転車のオバちゃんが、うつ伏せで倒れている。

 

みんなが、一斉に、川にきた。

「行こう、俺達は。」

「うん。」

 

焼けただれた人がいる。

 

すると、二度目の熱風が吹いた。

 

ジナが目を覚ますと、遺体安置所にいた。

「おや、生きていたのかい。」

岸道さんがのぞきこんだ。

エードは赤い顔をして、眠っている。

 

手を握ると、握り返した。

 

「この方はね‥もうダメだと思う。」

岸道さんは5秒ほど、2人を見たが、行ってしまった。

 

エードは目を開けた。

エードの目は、薄い茶色になってしまっている。

「ジナ‥。」

エードの目から、涙がこぼれた。

口はかすかに動いたが、なんと言ったか分からなった。

多分、愛してるだと思う。

 

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