多久さんの事件簿【スターの恋人の悲劇】37

July 12, 2019

多久さんの事件簿【スターの恋人の悲劇】37

サッカーのスター選手ロリーという男には、恋人はいないはずだった。

なぜ、自分がここまで来たのかは、正直分からなかった。

地元に戻った時には、森で、寂しそうに地面を見つめる彼女を見て、その彼女マリアを愛さなければならないと思ったが、声をかけることができなかった。

ロリーは、スターの心構えが出来ていなかったし、マリアを愛する準備も出来ていなかった。

いろいろな場面で祈る必要がある。ロリーは、マリアのことを祈る事が出来なかった。

それは、スターという立場で、いろいろな人から見られると、マリアの事を忘れるしか出来なかったのだ。

それでも、休みには、地元に戻り、マリアを見た。

それでも、声をかけられなかった。

 

マリアは、スターと宿命づけられているのなら、強い女性のはずだった。

でも、うまくできなかった。

 

それが原因だと思う。

ロリーは、悪夢を見るようになり、サッカーを辞めた。

端麗で美しいロリーの容姿は、長所だったが、ロリーは見た目を変えた。

そうしなければ、やめられないほどになっていた。

 

ロリーは、マリアに会いに行ったが、マリアはロリーの事が分からなかった。

スターとしてのロリーに、心底惚れていたのだ。

マリアは、寂しさのあまり、いつも遊んでいる森にいた老人を殺してしまっていた。

それに、腹に入れ墨をいれていた。

 

そのうちに、ロリーの偽物が登場して、マリアは1人で、偽ロリーの応援に行ってしまった。

大声で応援し、まわりはマリアを見た。

マリアは、親にもすごく叱られてしまった。

マリアは、ロリーのことが分からなかった。

 

マリアは、森にぬいぐるみを埋めていて、時々掘り起こして抱きしめたりしていた。

 

マリアは、スターと宿命づけられた女性で、強い女性のはずだった。

でも、うまくできなかった。

 

マリアは、猟銃で、自分の胸を撃った時、ようやく、本当のロリーが誰なのか分かった。

最近になって、時々、会いに来てくれるあの男の人だ。

 

マリアは、悲しくて、涙がでた。

 

マリアも強くなれるはずだった。

アラジンのスピーチレスPart1を聞くと、マリアの事を想ってしまう‥。

良い歌だが、なんとなく、呪われている感じがする。

どうしてなのだろう?

 

マリアは、自分の涙のお風呂で、眠れるほどの女性だった。

涙のお風呂を作るには、3リットルの涙が必要になる。

罪を犯した者の涙のお風呂には、色がつく。

それはそれで綺麗だが、無罪の者のお風呂の方が、絶対にいい。

 

美しい碧色で、温かいのに、ひんやりとする。

ずっといたくなるが、いずれ出なければならない。

生きている者は、夢などで行けるが、主には、死んだ後に休める場所の一つになる。

自殺してはいけない。生きている間でも、願って休めば、連れて行ってもらえるからだ。

 

本物のロリーは、青酸カリを飲んで自殺をした。

最後、「アーモンドロリー。」ロリーは紙に書いた。

 

「自殺。」とも‥。

 

 

偽ロリーは、高校の時、強いサッカー部員を殺したハンサムボーイだった。

先生に尻を見せたが、なんとも絶妙な男だった。

かっこいい男だったのかもしれない。

 

スターとの恋をする女性には、大きな狂気を感じる。

それは、自分もそうだったからかもしれない。

 

メインのメロディーよりも、誰かが考えた前奏は、なんとも不思議な感じがする。

アラジンの、ホール・ニュー・ワールド(エンドソング)がそうである。

そのメロディーに永久に包まれたいように思ってしまう。

マリアは、手が届かない場所からの、愛に包まれる感動を、理解できなかったのかもしれない。

まだ、はっきりと、自分の魔法に気づけなかったのかもしれない。

 

決して、手が届かない愛には、心の底から安心する。

それは、自分がまだ庶民でいる証なのかもしれない。

 

しかし、その場所で止まっていたら、いずれ手が届く。

心の底から安心する愛に包まれるためには、前を向かなければいけない。

 

 

 

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